2月23日(金)に山形県山形市のオーヌマホテルで、第12回「全国納豆鑑評会」が開催されました。全国納豆鑑評会は、全国納豆協同組合連合会(納豆連)に加盟する納豆製造メーカーより、1社1点で出品された100種以上の市販の納豆の中から、もっともおいしい納豆日本一(農林水産大臣賞)を決定する、年に一度の品評会です。納豆の製造技術、および品質の向上を目的として行われてきたこの品評会は、1986年の第1回東京大会を皮切りに全国各地で開かれ、昨年は静岡県熱海市で開催されました。
第12回を迎える今回の山形大会は、全国の納豆製造メーカーより118点の商品が出品されました。審査員は研究者、文化人、料理研究家など21名。審査の項目は「色・形・香り・糸引き・味」の5項目で、ひとつの出品に対してそれぞれ5点満点で評価がつけられます。最高得点を獲得し、最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞したのは、蒲髢リ食品工業(新潟県)の「大粒白糸納豆」です。このほか、優秀賞・優良賞として、大粒・中粒部門と小粒・極小粒部門の各部門から4点ずつ、特別賞として山形県知事賞1点が選出されました。
会場となった山形県は、納豆の1世帯あたりの年間消費金額が5522円と全国第5位(平成18年度)の納豆消費県です(全国平均は3847円で、前年比−1%)。地元山形県からの出展も11点あり、会場には地元メディアらが集まり盛況となりました。
来年度、第13回全国納豆鑑評会は石川県にて開催される予定です。
以下、審査員のコメントを付記します。
昨年同様に、レベルの高い商品が多くみられました。とくに糸引きは抜群。ただ、なかには会場まで商品を送る過程で発酵が進みすぎて、色にそれが現れてしまっているものも目に付きました。味に関しては、本年は食感がやわらかく、噛むと大豆本来の甘みを感じられる納豆が多かったと思います。今年から審査の方法が変わり、一部(小粒・極小粒部門)審査、二部(大粒・中粒部門)とわかれて、一気に審査をしています。比較という意味では、審査がしやすく効率的な審査が出来たと思います。
総評としては、小粒部門にやわらかいものがおおく、大粒は歯ごたえのあるものが多かったようです。今年は、スッキリと優勝が決まったという印象でした。
毎年この品評会をワクワクした気持ちで迎えるのですが、今年はとくに味の良い納豆がたくさんありうれしい限りです。回を重ねるごとにレベルが上がってきており、得点差をつけることが難しいと感じました。評価では、「小粒・極小粒部門」は単純に食感を重視しました。一度噛むと、口があけられなくなるような、糸引きの強いものもあり、よく発酵しているなと感じました。3点以上の高得点をつけた納豆は、いずれも口の中でうまみが強くなります。アミノ酸がたくさん含まれているためでしょう。「大粒・中粒部門」では、どれも納豆のうまみと糸引きのバランスが絶妙でした。
入賞する納豆には、その顔に力強さを感じます。これからも、納豆はますます注目される食材だと思いました。
今年も高レベルの出品が集まりました。「小粒・極小粒部門」では、評価の際に粒の形が均一で豆の色につやがあり、適度なねばりもある、そんなひと目見ただけで食べたくなるような納豆に高得点をつけました。納豆は、短時間で色が変わってしまうので、まずはざっと見栄えを判断して、あとからじっくり味や食感をみました。豆の色が薄くても、発酵が強いというものもあり、判断がつきにくい納豆が多かったのですが、全体的に高得点のものが多かったので、製造技術の向上を改めて感じました。
どの出品商品も非常にレベルか高く、甲乙付けがたいという印象でした。しかし、中には納豆らしいかおりが醸し出されており、香りの評価は高いが、それが必ずしも味に繋がっているものばかりではありませんでした。また、味や甘み、うまみは良いが、歯ごたえとマッチしていないというものもありました。そのため、今年は全体的に辛口の点数評価になりました。
私は大豆生産者の立場から審査に加わりましたが、大豆を作っている側から見ると、発酵して納豆になるという過程の中で、こんなにも味が変わるものかと驚きました。発酵と同時に、大豆がやわらかく、食べやすくなることが驚きです。とくに豆本来の味がどう出ているかを評価しました。
今回は、醗酵が進みすぎた、うまみの濃い納豆というのは少なかったです。なかには、出す時機を間違えたのかなと思うような、歯ざわりがシャキシャキしたものもありましたが、比較的、均一なレベルに揃っていると感じました。会場や審査員の出身地なども考えられて、生産者の工夫がこらされた出品もありました。
全体的に良い商品が多かったが、「大粒・中粒部門」では、豆そのもののうまみがあまり前面に出ていなかった。黒豆など、せっかく特徴のある素材を使っているのだから、蒸し方などで、素材を生かす工夫をして欲しいと思います。
大粒・中粒部門では、色とりどりのあざやかな豆の種類を楽しみました。糸引きや発酵の進み具合も適度な状態のものが多く、それぞれの点数にあまり開きがみられませんでした。
ただ、パックの表面と裏のほうで状態が違うというものもあった。
本年度 入賞作品(中央左が最優秀賞の「大粒白糸納豆」)