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今年度の日本一おいしい納豆は
(株)小杉食品の「日本の黒豆」に決定!

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日本が世界に誇る総合栄養食「納豆」の日本一を決める「全国納豆鑑評会」の第22回大会が京都府京都市で開催され、全国82メーカー、総出品数201点の中から、三重県の(株)小杉食品の「日本の黒豆」が栄えある最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞しました。

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平成29年2月24日(金)、京都府京都市の「京都ブライトンホテル」にて開催された第22回「全国納豆鑑評会」。関西地方では納豆は食べないと言われていますが、京都では京北地方で伝統的に納豆餅が作られ、食べられています。また、妙心寺では白みそ仕立ての納豆汁が昔から継承され、食されています。そうした納豆食との深いつながりがあることから、納豆の日本一を決めるにふさわしい都市ということで、22回目となる本大会を開催することになりました。

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審査対象となる納豆は、納豆連に加盟する納豆メーカーが自社製造する納豆で、今回の総出品数は全国82メーカーから201点。審査員は、研究者・文化人・食品関係者・省庁関係者など総勢31人。評価方法は納豆の「外観(見た目)」、「香り」、「味・食感」の3項目について、秀でたものを5点、劣るものを1点として出品納豆に点数がつけられ、合計点数上位から受賞納豆が決定します。

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最優秀賞を受賞した(株)小杉食品の「日本の黒豆」のほか、小粒・極小粒部門および大粒・中粒部門から優秀賞が各3点、優良賞が各2点、特別賞として近畿農政局長賞が各1点、永山久夫賞が各1点、ひきわり部門から全国納豆協同組合連合会長賞が1点、アメリカ大豆部門からRed River Valley U.S.Awardが1点、アメリカ大豆サステナビリティアンバサダーアワードが1点、そして京都大会特別賞として京都府知事賞が1点、京都市市長賞が1点、合計20点選出されました。

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集計作業中、会場では、世界納豆普及協会主催の「第6回世界納豆まぜまぜ選手権」および「第6回世界納豆のびのび選手権」が開催されました。会場には京都府公認キャラクター「まゆまろ」、茨城県非公認キャラクター「ねば〜る君」、ミス納豆の浜口順子さんも応援にかけつけ、大いに盛り上がりました。

「まぜまぜ選手権」は、納豆を混ぜる動作の美しさと混ぜる回数を競うもの。2人の出場者がそれぞれ1分間にかき混ぜた回数の合計値で争われます。地元の京都からはもちろん、東京や千葉、アメリカから7組14名が参加し、華麗に納豆をかき混ぜました。その中で見事優勝されたのは、ご兄妹で参加された「ブラザーズ」さんで67回でした。

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「のびのび選手権」は、混ぜた納豆から伸ばした糸の長さを競うもので、6組12名の参加者により、真剣勝負が繰り広げられました。優勝したのは、京都観光おもてなし大使の頭川展子さんで、記録は12.1m。納豆の糸を引く姿がとても麗しく、会場は頭川さんに目が釘付けでした。

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また、京都観光おもてなし大使の頭川展子さんから、京ブランド認定食品「京都吟味百撰」についての紹介がありました。「京都吟味百撰」とは、数ある京都の食品から京都府食品産業協会が認定した京ブランドで、「ほんまもん」の味のみが選ばれます。京納豆として認定されている高橋食品、藤原食品、森口加工食品の3社も登壇し、自社商品の特徴をPRしました。

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さらに、東京農業大学教授の木村俊昭様が「地域創成 成功の方程式はあるのか?できる化・見える化・しくみ化」と題し、地域創成に必要なこととして、自己分析や町の基幹産業の分析、情報の共有、知育・食育・木育・遊育・職育・健育から成る「五感六育」の重要性などをお話してくださいました。

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続いて、筑波大学人文科教授の石塚修様が「関西における納豆食文化」と題して講演してくださいました。関西地方では納豆は食べないと言われていますが、京北地方では伝統的に納豆餅が食べられていたことや、妙心寺では白みそ仕立ての納豆汁が振る舞われていることなど興味深いお話をしてくださいました。その後、妙心寺のレシピを再現した「納豆汁」が来場者に振る舞われ、上品な白みそと納豆のうま味が凝縮された納豆汁を堪能しました。

今回の京都市での全国納豆鑑評会にご来場いただき、会場を盛り上げてくださった一般来場者の方々や貴重な講演をしてくださったお二人の先生方、そして報道関係者の方々、本当にありがとうございました。

来年度の第23回全国納豆鑑評会は群馬県で開催される予定です。

以下、審査員のコメントを付記します。

講評

全国納豆協同組合連合会 会長 野呂剛弘

大粒を担当した。「これは本当に美味しい!」と感じるものが例年よりも多く、全体的にレベルが高かったため、非常に審査が難しかった。(5点満点中)平均が3点だとすると、4点のレベルの納豆が多かった。審査の決め手は、後味として残る大豆の甘みがあるかどうか。逆に後味としてえぐみが残るものは一番厳しく採点した。今回のように評価に苦労するぐらいレベルが高いということは、業界としても非常に良いことだと思う。

全国納豆協同組合連合会 副会長 工藤茂雄

大粒を担当した。全体的には、後から苦みを感じる納豆が多かった。しかしその中でもいくつか飛びぬけて美味しいと感じるものがあり、見た目はあまりよくないが食べてみると味が良いものもあったので、味の良さ、雑味が残らないことにウエイトを置いて点数をつけた。鑑評会に出品される納豆は各メーカーがよく研究しており、バランスが良いが、今後は何か飛びぬけた個性のある納豆が出てきてもいいのではないかと思う。

京そうざい事業協同組合理事長/(株)オノウエ 代表取締役 尾上一幸

納豆はもともと好きでよく食べていた。今回初めての参加で、最初は納豆の差が分かりづらかったが、食べ進めていくうちに、後味の良いものとそうでないものがはっきりしてきた。私は惣菜を作っているが、惣菜でも後味を気にする。納豆も同じで、最後まで美味しいと感じられた、後味まで良いものに高得点をつけた。

割烹梨吉店主 祇園ミシュラン一つ星 平岡修一

初めて参加し、とても面白かった。口に入れた瞬間にソフトな食感がする納豆は、大豆の湯がき方(下処理)をきちんとされているのだろうなと感じ、美味しいものが多かった。逆に一口目が固いものについては、その後食べ進めていてもあまり良いとは感じられなかった。

倉敷芸術科学大学特任教授 須見洋行

小粒を担当したが、全体的にレベルが高く感じられた。年々レベルは上がってきていると思う。粘りの度合いや香りなど、消費者の納豆の好みも時代によって変わってきているので、メーカー各社も消費者の声に耳を傾けて改善してきているのだと感じた。

筑波大学教授 石塚修

各メーカーさんが一生懸命作られた納豆を、素人ながら審査させていただいた。小粒を担当したが、どれも平均的に美味しく、業界全体のレベルが上がってきているのではと感じた。

京都府漬物協同組合理事長/京つけもの西利 代表取締役副会長 平井達雄

出品されている納豆のレベルの高さを感じた。つけものは野菜と塩で発酵するもの、納豆は大豆と納豆菌で発酵するもので、昔からある伝統食品。どちらも正しく作ればそれなりのレベルのおいしいものができるのだと、レベルの維持や技術の出し方を実感した。審査の決め手としては、香りがいいもの、大豆のうま味が他よりもあるものなど特徴的な納豆を高評価した。納豆もつけものも日本の風土食品。どちらの業界も今後、一般消費者に対するPRを業界全体でやっていくべきだと思った。

茨城県工業技術センター 首席研究員 長谷川裕正

いいものと悪いもののばらつきが大きかった。悪いものは、チロシンが出ていたり、若すぎる点が気になった。良いものは色合いが鮮やかで、うま味があり、糸引きがちゃんとしている。また、食感がなめらかだった。今回の鑑評会の結果は各社にフィードバックするので、ぜひ今後に役立てていただきたい。

自治医科大学さいたま医療センター教授 早田邦康

ひきわり、アメリカ大豆部門を担当したが、非常にレベルが高く審査は難しかった。その中でも、かなり特徴的で美味しい納豆があった。審査の基準として味に一番のウエイトを置いているが、大豆臭さや発酵後のアンモニア臭がどれくらい消えているかなど香りにも重きを置いて審査した。また、私はずいぶん前にもアメリカ大豆部門を審査したことがあったが、当時に比べてアメリカ大豆そのものの品質も向上したように感じた。