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今年度の日本一おいしい納豆は
有限会社 鈴木食品工業の「大粒白糸納豆」に決定!

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日本が世界に誇る総合栄養食「納豆」の日本一を決める「全国納豆鑑評会」の第27回大会が長野県長野市で開催され、全国69メーカー、総出品数180点の中から、新潟県の(有)鈴木食品工業の「大粒白糸納豆」が栄えある最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞しました。

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2023(令和5)年11月9日(木)、第27回「全国納豆鑑評会」が長野県長野市の「ホテル国際21」で開催されました。長野市での開催は2003(平成15)年以来20年ぶりです。長野県といえば信州みそや信州そばを思い浮かべる人が多そうですが、実はおいしい納豆の生産も盛んです。納豆鑑評会では過去4回の農林水産大臣賞をはじめ多くの入賞製品を輩出しています。県中域に広がる塩尻市桔梗ヶ原の県中信農業試験場に1957年、農林水産省(当時農林省)の大豆育種指定試験地が設置されて以来65年以上にわたり、長野県では地域の気候や土壌に合った病害虫に強い大豆品種の開発、生産が熱心に行われてきました。良質で多様な種類の大豆を入手できる環境を背景に、納豆の生産も活発で、ここ長野市でもメーカー各社が味と品質を競っています。

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会場入口には長野県の魅力を映像で紹介するモニターを設置。納豆と同じく発酵食品である長野の地酒、県産ワインの資料などが提供されました。

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審査対象となる納豆は、納豆連に加盟する納豆メーカーが自社製造する製品で、今回の総出品数は全国69メーカーから180点。審査員は、研究者・文化人・食品関係者・省庁関係者など総勢15人で、評価方法は納豆の「外観(見た目)」、「香り」、「味・食感」の3項目について、秀でたものを5点、劣るものを1点として出品納豆に点数がつけられ、合計点数上位から受賞納豆が決定します。

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最優秀賞を受賞した(有)鈴木食品工業の「大粒白糸納豆」のほか、小粒・極小粒部門および大粒・中粒部門から優秀賞が各3点、優良賞が各2点、長野大会特別賞として長野県知事賞が各1点、長野市長賞が各1点、関東農政局長賞が各1点、ひきわり大豆部門から全国納豆協同組合連合会長賞が1点、納親会長賞が1点、アメリカ大豆部門からSSGA U.S.Awardが1点、アメリカ大豆サステナビリティアンバサダーアワードが1点、合計20点が選出されました(最優秀賞を含むと合計21点の賞が授与されました)。

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審査会場には、納豆の妖精「ねば〜る君」が潜入。審査中の緊張感漂う会場からライブ中継を行いました。

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また、集計作業中には「第10回世界納豆ねばねば選手権」および「第10回世界納豆のびのび選手権」が開催されました。「ねば〜る君」や長野県PRキャラクター「アルクマ」の応援を受け、エントリーした方々の大奮戦に大いに盛り上がりました。

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「ねばねば選手権」は80回の記録を打ち立てた地元放送局「ABN・NBS連合チーム」、「のびのび選手権」は11.131mを引き上げた「納豆マガジンチーム」が優勝し、賞状と副賞が授与されました。

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受賞納豆を紹介する審査発表会場には「ねば〜る君」と「アルクマ」が登場。発表に先立ち、全国から集まった納豆を「こども食堂」などを運営するNPO法人ホットライン信州に贈呈するセレモニーが行われました。

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全国納豆協同組合連合会の相沢勝也副会長が受賞製品を発表すると、観覧者からはどよめきが。審査員の一人で料理研究家の王鷲美穂氏が製品を掲げて紹介し、場内全員で受賞を祝福しました。最優秀賞の発表と同時に「ねば〜る君」が天高く伸びあがる姿も会場を沸かせました。発表後、審査委員長でもある全国納豆協同組合連合会の長谷川裕正顧問から以下の総評が述べられました。
「各社の努力が見て取れ、品質の差がほとんどない状態だった。2度の決選投票で順位が決まるという大変な審査を経て順位が決定した。結果は各社にフィードバックするので、今後の改善への努力と、来年以降の積極的な参加を期待する」

今回の長野県長野市での全国納豆鑑評会にご来場いただき、会場を盛り上げてくださった関係者の皆さま、ライブ配信をご覧いただいた皆さま、そして報道関係者の方々、本当にありがとうございました。これからも日本の伝統食納豆の魅力を伝えるため、普及活動に努めてまいります。

来年度の第28回全国納豆鑑評会は大阪府で開催される予定です。来年もぜひご参加ください!!

以下、審査員のコメントを付記します。

講評

全国納豆協同組合連合会 副会長 相沢勝也

小粒・極小粒部門を担当した。糸引きがよく大豆の芯まで発酵させてしっかりした食感を感じさせる製品がほとんどだった。大豆内部のタンパク質が抜けた感じのものがいくつか気になったほかは、全体に質の高い製品が集まっていた。長野での審査は20年ぶりだったが、当時と今日とで自分自身のうま味の感じ方に変化があり興味深かった。全国の皆さんにも年齢に応じて納豆の味がどう変わっていくか、ぜひ食べて感じていただきたいと思う。

全国納豆協同組合連合会 副会長 工藤茂雄

大粒・中粒部門を担当した。今年は黒大豆の納豆が多かったのが印象的だった。また、豆色が白っぽかったり、赤くツヤがあったり、個性的な製品の出品も目立ち、メーカーそれぞれに工夫を凝らした商品開発を展開していることを実感した。全体を通じて製品レベルが非常に向上しており、糸引き、香り、うま味の出方などの差はきわめて微妙。喜ばしい一方、年々審査の困難さを感じるようになってきている。

倉敷芸術科学大学 名誉教授 須見洋行

小粒・極小粒部門を担当した。小粒の納豆は普段から食べて慣れていて親しみがある分、比較がむずかしい。しかも出品各社が品質を高めてきている。64品を十分に食べてじっくり比較しなくてはならず、なかなか大変な審査だった。とはいえ似ている製品にもそれぞれ個性があり、微妙な違いがある。色のよさ、食感、うま味のバランスがよく、私自身の味覚でおいしいと感じられることを重視した。

信州大学 学術研究所 教育学系教授 小林比出代

大粒・中粒部門を担当した。どの製品にもつくり手の思いが込められ、個性も息づいている。製品でありながら「作品」と呼びたいほどで、ありがたく賞味するとともに納豆連や出品各社に畏敬の念を抱きながら審査に臨んだ。納豆は毎日食しているが、これまで経験したことのない味に出会えたのも収穫。納豆という商品でこれほど素材の味を純粋に、フレッシュに表現できるのかと感銘を受けた製品もあり、貴重な経験ができた。

令和4年度 納豆真打 鈴木桃子

初めて参加させていただき、大粒・中粒部門を担当した。納豆真打ちとしてほぼ毎日納豆を食し、積極的にさまざまな製品を購入している。今回審査したどの製品にもそれぞれ特徴があり、どれもおいしく、毎日食べたい納豆ばかりだと思いながら楽しく審査した。個人的には大豆の味がしっかりするものがおいしいと感じる。甘味、うま味が際立ち、固すぎず柔らか過ぎず、もちもちとした食感を評価した。

埼玉中央病院 病院長 早田邦康

小粒・極小部門を担当した。今年コロナに罹患し快復したが、もしや味覚か嗅覚の障害が残っているのではないかと不安になるほど各製品の区別が微妙で、審査がむずかしかった。そのなかで香りと味に甘さが感じられる製品があり、新鮮な印象を受けた。数年前には製品によりかなりの差があったものだが、今は各社それぞれに研究、努力を続け、こだわりも持ち、総合的に品質を向上させていると実感した。

Ohisama料理教室主催 王鷲美穂

小粒・極小粒部門を担当した。もともと納豆が好きで毎日食しているが、65品を比較しながら食べてみると、香り、大豆の甘み、食感にこれほど個性が出ることに驚いた。どれもおいしいと感じただけに、あえて厳しく比較させていただいた。なかでも納豆らしい香りが素直に香ってくるものを評価した。料理の専門家として納豆には大きな可能性を感じている。主食、サラダ、調味料、お惣菜の具など楽しめる要素は非常に大きいと思う。

農林水産省 大臣官房新事業・食品産業部 食品製造課 課長 渡邉顕太郎

ひきわり・USA大豆部門を担当した。納豆連の活動は、運営する皆さんも会員の方々も盛り上げに努力され、品質向上にもPRにも熱心に取り組まれている点が素晴らしいと感じる。その思いに応えるべく、真摯に審査し評価させていただいた。個性的な製品も数多く出品されており、会員各社の意気込みが感じられた。去年に続き2回目の参加だが、昨年は大粒部門だったので、まったく異なる見た目や味を体感できて非常におもしろかった。

全国納豆協同組合連合会 顧問 長谷川裕正(審査委員長)

ひきわり・アメリカ大豆部門を担当し、60点を試食・審査した。全体的に製品のレベルが向上しており、色引き、香り、菌の増殖、そして風味のすべてにおいて差を見きわめるのが困難なほどだった。各メーカーの努力の成果が十分に出ていたと思う。納豆は価格が安く、消費額、消費量が急激に伸びるといった性質の食品ではないが、健康志向や家庭での食事志向と合わせ、メーカーの努力によって今後消費が伸びることが期待できると思う。