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  3. ポリグルタミン酸が骨粗鬆症を防ぐ

納豆のポリグルタミン酸が
骨粗鬆症を防ぎ、肌もツルツルに!

〜糖尿病の合併症を防ぐ効果も大〜

日本人に唯一不足しているといわれる栄養素が、カルシウムです。カルシウム不足は骨粗鬆症をはじめ、さまざまな病気の引きがねになりかねません。ただ、カルシウムは吸収しにくいのが欠点。しかし、納豆に含まれるポリグルタミン酸は、カルシウムの吸収を高めてくれるのです。  また、最近の研究で、ポリグルタミン酸に保湿効果があることがわかりました。スキンケア対策として、納豆石けんや納豆ローションなどが発売されるようになり、いま、美容業界からも納豆の効果が脚光を浴びています。

1.現代人は慢性的なカルシウム不足

ここ数年、転んだだけで骨折してしまう子供や、骨粗鬆症の患者が増加傾向にあります。その最大の原因は、カルシウム不足。厚生労働省による、国民栄養調査でも、カルシウムは日本人に唯一不足している栄養素とされています。

 成人の1日あたりのカルシウム所要量は、600mg。しかし、実際には、日本人の約70%の人はこれだけの量を摂取できていないといわれています。また、現代人はリンを多く摂取している傾向があります。これも、カルシウム不足を助長する原因になるのです。カルシウムはリンと結合してリン酸カルシウムという形で骨を形成します。しかし、リンを撮り過ぎると、カルシウムの吸収を阻害し、逆にカルシウム不足になってしまうのです。  つまり、私たち日本人は、カルシウム不足+リンの過剰摂取により、カルシウムが慢性的に足りない状態になっていると考えられます。

日本人の1日あたりのカルシウム所要量
日本人1人あたりのカルシウム所要量
出典:「カルシウムその基礎・臨床・栄養」 社団法人全国牛乳普及協会 田沢良記・日木正孝・江澤郁子・広田孝子編


2.カルシウム不足があらゆる病気を招く

 カルシウム不足によって起こる病気で、最も知られているのが骨粗鬆症でしょう。骨にはタンパク質やリンなどとともに、たくさんのカルシウム(骨重量の約50%)が含まれています。しかし、骨に含まれるカルシウムなどの量(骨量)は若年期をピークにして、年齢とともに減ってきます。そして骨量が減少すると、骨の中の構造が壊れ、骨は非常にもろい状態になり、折れやすくなります。この状態が骨粗鬆症です。

 骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気で、閉経期の40〜50才代から急激に骨量が減少し、60才代で2人に1人、70歳以上ではなんと10人に7人が骨粗鬆症だといわれています。ちなみに、男性の骨粗鬆症は60才過ぎから徐々に増え始め、70才以上では10人中、4人以下と考えられています。日本医師会によると現在、日本には1000万人以上の骨粗鬆症患者がいると推定されています。

 また、神戸大学の藤田拓男名誉教授によると、カルシウム不足になると、次のような現象が起きるといいます。

 カルシウムが不足する→副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが溶け出す→それによって、血液中に不足したカルシウムが補われる→しかし、その代償として、骨がスカスカになり折れやすくなる(骨粗鬆症)→骨から溶け出したカルシウムが細胞内に侵入し多くの生活習慣病の原因となる

 たとえば、藤田名誉教授によれば、高血圧もカルシウム不足が原因だといいます。では、なぜ、カルシウムが不足すると、血圧が上がるのでしょうか。  前述したように、カルシウムが不足すると、副甲状腺の働きで骨からカルシウムが溶け出てきます。そのカルシウムは、やはり副甲状腺ホルモンの働きによって、血管壁の細胞の中に入ります。筋肉は、細胞内にカルシウムが増えると収縮する働きがあります。血管の外側は平滑筋と筋肉で取り巻かれていますが、血管壁の細胞内にカルシウムが入ってくることによって、収縮が強くなります。すると、血管の内腔が狭くなり、血液が通りにくくなります。そうなると、心臓は今までより強い力で血液を押し出さなければ、全身に血液を送ることができなくなります。これが高血圧の主な原因だということです。藤田名誉教授によれば、そのほか、動脈硬化や痴呆、糖尿病もカルシウム不足が原因になっているといいます。

3.納豆のネバネバが骨を丈夫にする

 では、骨粗鬆症などを予防・改善するにはどうすればよいのでしょうか。もちろん、牛乳や小魚など、カルシウムを多く含む食品を積極的に摂り、リンの過剰摂取に気をつけることは言うまでもありません。ただ、カルシウムは吸収されにくいのが、最大の欠点だといえます。

 しかし、納豆はカルシウムの補給に優れているだけでなく、あの独特のネバネバ成分には、カルシウムの吸収を高める効果があるのです。それに一役買っているのが、ポリグルタミン酸。これはアミノ酸の一種で、うまみのあるグルタミン酸が約三千個もつながっているもの。そのため、強い粘りがあり、糸を引くのです。このポリグルタミン酸が、腸からのカルシウムやミネラルの吸収を高めてくれるのです。

 実際、納豆の消費量の多い東北、関東地方は骨折の発生比率が低く、納豆消費量が東北・関東の半分程度の近畿以西は、骨折の発生比率が高いということがわかっています。

 骨粗鬆症による骨折は年々増加傾向にあり、それだけでなく、子供の骨折も増えています。これは、やはり、カルシウム不足が少なからず影響していると考えざるをえません。カルシウムの吸収を高めるポリグルタミン酸を多く含む納豆を摂ることが、こうした骨折を防ぐ1つの方法だと考えられます。また、カルシウム不足を解消することで、そのほかの生活習慣病の予防・改善にも役立つはずです。

 なお、骨粗鬆症を防ぐ納豆の成分は、ポリグルタミン酸だけではありません。そのほかの成分も見ていきましょう。

カルシウム 骨の大事な主成分
 骨は常に壊され、新たに作られています。こうして新陳代謝を繰り返しているのです。骨を壊すのは、破骨細胞の役割で、これは成人以降、ほぼ一定の働きをしてくれます。一方、骨を作る骨芽(増骨)細胞の役割は、成長期以降、徐々に低下していきます。破骨細胞より骨芽細胞の働きが遅くなると、骨の主成分であるカルシウムは減少の一途を辿り、骨粗鬆症のリスクが高まってきます。しかし、納豆にはカルシウムが豊富に含まれているため、これに歯止めをかけてくれるのです。また、骨芽細胞の働きは、運動によって骨に刺激が加わると、高まってきます。

たんぱく質 骨を作る土台

 骨の25%はたんぱく質です。骨を丈夫にするのは、カルシウムの補給とともに、たんぱく質も欠かせません。納豆の材料である大豆はたんぱく質が豊富で、しかも、たんぱく質を構成するアミノ酸20種類のうち、18種類も含まれています。カルシウムは、アミノ酸バランスがとれた食品と一緒に摂ると吸収率が高まります。納豆はカルシウムが多く、しかもアミノ酸バランスにも優れているので、カルシウムの吸収を高めて骨粗鬆症を予防してくれます。

ビタミンK2 骨にカルシウムを定着させる

 骨はカルシウムとたんぱく質が結合して作られていますが、ビタミンKはその結合力を高めてくれるのです。しかも、骨からカルシウムが出て行くのを防ぐ効果も大。結果的に、骨を丈夫に保ってくれるのです。ビタミンKにはレバー、海藻、野菜などに含まれるビタミンK1と、納豆、味噌、チーズなどの発酵食品に含まれるビタミンK2とがあります。骨粗鬆症の人と、そうでない人を比較した場合、血液中のビタミンK1濃度には大きな差はありませんが、ビタミンK2は骨粗鬆症の人は濃度が低くなっていることから、骨を丈夫にするには、ビタミンK2のほうが重要だといえます。体に必要なビタミンK2の約半分は腸内細菌によって作り出されていますが、充分量を確保するためにも、ビタミンK2が豊富な納豆を摂ることが望ましいといえます。

イソフラボン カルシウムの減少をストップ!

大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似たような作用があります(エストロゲン様作用)。更年期などでエストロゲンが減少すると、骨密度は低下し、骨も弱くなってきます。しかし、納豆はエストロゲンを多く含み、骨密度の低下を防いでくれるのです。

4.肌がしっとり! ポリグルタミン酸の新効果

 骨粗鬆症などの予防だけでなく、いま、ポリグルタミン酸の新効果として注目を集めているのが、美容効果です。ポリグルタミン酸に優れた保湿効果があることがわかり、それによって、みずみずしく、しっとりとした肌になるということで、美容業界でも注目を集めています。

 最近では、納豆石けん、納豆ローションなどといった、ポリグルタミン酸を含んだ商品がデパートなどの化粧品コーナーに並ぶようになり、消費者の関心を集めています。

 たとえば、納豆石けんの場合、泡立ちがクリーミーで、洗顔後もつっぱらないと好評。肌がしっとりし、弾力感も高まると評判です。ポリグルタミン酸が納豆のネバネバ成分だからといって、石けん自体が糸をひいたり、納豆の匂いがしたりといったことはありません。

 保湿力を高める作用が強いため、とくに乾燥肌や敏感肌のかたに有効です。納豆石けん、納豆ローションなどの商品は、いろいろなメーカーから多数市販されています。

5.美容と健康にいい納豆サラダ

骨粗鬆症を予防

ヘルシーでありながら適度なボリュームも!
ワインなどのお酒のおつまみにもなります。


●材料(2人分)
納豆 ……2パック
ツナ缶 ……小1
レタス ……1/4個
キャベツ ……1/8個
干しワカメ ……大3
大葉 ……10枚
カッテージチーズ ……大2〜3
<調味料>
しょうゆ ……大1
練りからし ……小1
マヨネーズ ……大2
コショウ ……少々

●作り方
(1) ツナ缶は蓋を開け納豆と合わせ、<調味料>を加えてさっくりと合わせる。
(2) レタス、キャベツはせん切りにし、合わせて冷水に放ち、パリッとすればザルに上げしっかり水気をきっておく。干しワカメは水で柔らかく戻し、水気を絞る。大葉は軸を切り落として縦半分に切り、更に横に細切りにする。水に放ち水気を絞る。
(3) 器に大葉以外の2を盛り、1の合わせ納豆をかけ、カッテージチーズ、大葉をのせて、できあがり。ご飯や麺、豆腐等にかけてもOKです。