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20〜30代の男性の動脈硬化が2倍に!
納豆は複合効果で、動脈硬化を防ぐ

 20〜30代男性の動脈硬化が2倍になり、しかも、いまなお増え続けていると予想されています。長寿大国といわれる日本ですが、このままいけば、その看板を下ろさざるをえません。この由々しき問題を解決してくれそうなのが、納豆の健康増進効果。過剰な悪玉コレステロールを減らし、血管の炎症も抑えてくれるので、動脈硬化も最小限に食い止めてくれることが期待できます。いつまでも長寿大国であり続けるためにも、納豆は欠かせません。

1.働き盛りの若い男性を襲う、動脈硬化

 現在、長寿国として世界的に有名な日本ですが、未来のことを考えると、そう楽観視もしていられません。もしかすると、先進国でありながら長寿どころか、「短命大国」というレッテルを貼られられないからです。

日本人の死因の1位はガンですが、2位は心臓病、3位は脳卒中です。その2位と3位は、動脈硬化が原因です。
動脈硬化とは、血管(動脈)にコレステロールや中性脂肪などがたまって、詰まったり、硬くなったりしてスムーズに血液が流れなくなる症状をいいます。日本人の死因の第2位、第3位である心臓病(狭心症、心筋梗塞など)や脳脳卒中(脳梗塞、脳出血など)の元凶になっているのは、この動脈硬化。動脈硬化は、加齢にともなって、進行していきますが、その進行を加速させる一因となっているのが、日々の食べ物です。動物性脂肪の多い高カロリー食は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、それにともなって過酸化脂質を増加させます。それらが血管壁に付着して血管を詰まらせたり、血管が破れたりする原因になっているのです。

 その動脈硬化に関する、衝撃的なデータが2004年8月に発表されました。 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こる割合は、20〜30代男性で1980年前後から90年代前半の10数年間に2倍以上になったことが、由谷親夫岡山理科大教授(臨床検査病理学)らの研究でわかったのです。
 由谷教授らは、病理解剖された約1000人の血管を詳細に調べ、過去の同様の研究と比較しました。その結果、上記のことが判明したのです。

 おそろしいことに、この傾向はその後も続いているとみられ、狭心症や心筋梗塞などがさらに増える可能性を示すデータといえそうです。しかも、動脈硬化は体の一部で起こるわけではなく、全身に起こります。心臓の冠動脈だけでなく、脳内の血管でも動脈硬化は進んでいると考えられるでしょう。

 由谷教授は、動脈硬化が進んだケースは血液中の総コレステロール値が高いことを指摘しています。つまり、動物性脂肪の過剰摂取など食生活が大きな原因になっているといいます。

特に男性は、女性と較べて、動物性脂肪を好む傾向にあり、そのぶん、コレステロール値が上昇。結果的に、若い時期から動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気を発症しやすくなると考えられます。

 このまま、動物性脂肪を過剰に摂取していけば、日本人男性の動脈硬化はますます促進し、長寿どころか、働き盛りの年代で重篤な病気になってしまうリスクも高まってきます。このようなケースが増えていけば、長寿国家の看板を下ろさなければいけなくなることも、十分考えられるのです。

2.3つの成分の複合効果で動脈硬化を抑える

動脈硬化は増加傾向にありますが、それを強力に防いでくれるのが、納豆。いくつかある、動脈硬化予防効果を順に見ていきましょう。

その1 大豆イソフラボンの効用
動脈硬化を促進するのは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールです。これに対し、血管壁からLDLコレステロールを排除するのは、善玉コレステロール(HDLコレステロール)なのです。

 つまり、動脈硬化を防ぐには、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らすのが、大きなポイントになります。じつは、納豆に含まれる大豆イソフラボンはHDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らす作用があることがわかっているのです。

 ということは、若い男性に増えてきている動脈硬化を防ぎ、健康長寿をまっとうするためには、納豆は理想の食材だといえるのです。

その2 大豆レシチンの効用
 善玉コレステロールと悪玉コレステロール。このように、善玉、悪玉と区別されていますが、悪玉でありLDLコレステロールも、まったくの悪者というわけではありません。LDLコレステロールは、細胞膜の材料を運ぶという、たいへん重要な役割を果たしているのです。ただ、LDLコレステロールが増えすぎると、活性酸素という悪玉酸素に酸化されて過酸化脂質(酸化した脂)となり、結果的に動脈硬化を引き起こしてしまうのです。

 そのLDLコレステロールですが、意外かもしれませんが、HDLコレステロールと同じ材料でできているのです。コレステロールが善玉になるか、悪玉になるかは、納豆の材料である大豆に含まれるレシチンが鍵を握っています。レシチンが十分に補給されていれば、HDLコレステロールとLDLコレステロールのバランスはうまく保たれています。しかし、レシチンの量が少なくなると、体内でLDLコレステロールが増加し、血管に付着しやすくなり、それが動脈硬化の一因となってしまうのです。

 動脈の掃除屋さんともいえる、HDLコレステロールの量を増やし、活発に働いてもらうためには、たくさんのレシチンを摂取することが大事なのです。なお、レシチンは卵にも多く含まれていますが、同じ量であれば、大豆レシチンのほうが、質の高いHDLコレステロールを増やすことがわかっています。

 また、次のような臨床実験が行われました。総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪値が150mg/dl以上の高脂血症の人たちに、大豆レシチンを1日10g、12週間服用してもらったところ、総コレステロール値、中性脂肪値が正常値になったという例がいくつもあったというのです。なかには、総コレステロール値が30%以上も下がったという人もいたそうです。

 つまり、大豆レシチンを豊富に含む納豆を常食することで、動脈硬化の大敵である総コレステロール値、中性脂肪値を下げることが、十分に期待できるということです。

その3 ポリアミンの効用
 2004年7月のリリースでも、お伝えしましたが、納豆に多く含まれるポリアミンという成分にも、動脈硬化を抑える効果があることがわかりました。ポリアミンはアミノ酸の一種で、動物や植物など、生物すべての細胞内に存在し、生命維持のために欠かせない働きをしています。
 動脈硬化を防ぐには、コレステロールの過剰摂取とともに、血管内の炎症を抑えることも大きなポイントになります。その炎症を起こす張本人は、白血球の1種であるリンパ球に含まれる「LFA-1」という物質です。

 このLFA-1という物質は加齢とともに増加し、血管内の炎症を引き起こして、動脈硬化を促進します。つまり、逆に考えれば、LFA-1の増加を抑えれば、動脈硬化を食い止められるということです。

 そのLFA-1の増加を抑えてくれるのが、納豆に多く含まれるポリアミン。しかし、体内でのポリアミンの生成量は加齢とともに減少していきます。といっても、悲観することはありません。ポリアミンを食品などから摂取すれば、体内のポリアミン濃度は高くなるのです。その結果、LFA-1の増加を抑え、動脈硬化を防ぐことが十分期待できるのです。

 動脈硬化予防成分ともいえるポリアミンを最も多く含む食品の1つにあげられるのが、納豆。1日3回、それぞれ納豆を1パック(約50g)食べた場合、1カ月後には体内のポリアミン濃度が2倍近くまで上がった例もあります。

 ポリアミンを多く含む納豆を食べることで、血管に炎症を起こして動脈硬化を促進するLFA-1を抑えることができるのです。

まとめ
 悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを減らし、善玉であるHDLコレステロールを増やす、納豆に含まれる大豆イソフラボンと大豆レシチン。それに加え、血管の炎症を抑えてくれる、ポリアミン。心臓病や脳卒中の元凶である動脈硬化は、過剰なコレステロール摂取と動脈の炎症が主な原因です。その意味では、それらを防ぐ納豆は動脈硬化を防ぎ、健康長寿を約束する、最高の食材だといえるのではないでしょうか。

3.納豆&シイタケが、秋の最強健康食

納豆はもちろんのこと、シイタケも代表的なポリアミン食の1つです。そこで、動脈硬化を防ぐポリアミンを最も多く含む2つの食品、納豆&シイタケ料理のレシピを4つ紹介しましょう。

A 納豆、焼きシイタケのキムチあえ
●材料(2人分)
納豆 ……1パック
生シイタケ ……6枚分
キムチ ……40g
酒・しょうゆ ……各大さじ1/2

●作り方
(1) 生シイタケはじくをとり、焼きあみまたはグリルで両面に焼き色がつくまで焼き、すぐに酒としょうゆを合わせたものにつけて、すぐに引き上げる。
(2) (1)の生シイタケを薄く切る。キムチはせん切りにする。
(3) 納豆をよく混ぜ、(2)を加えてさらによく混ぜ合わせて器に盛りつける。

B 生シイタケと納豆の炒めもの
●材料(2人分)
納豆 ……2パック
生シイタケ ……6枚分
オリーブ油 ……大さじ1
しょうゆ ……大さじ2/3
こしょう ……少々
白ごま小さじ ……1/2

●作り方
(1) 生シイタケは薄切りにしてオリーブ油で炒める
(2) 生シイタケがしんなりしたら納豆を加えて、生シイタケと混ざるように炒め合わせる。納豆の粘りが弱くなってきたら、しょうゆとこしょうを加えて仕上げる。器に盛り、白ごまをふる。

C シイタケ、えのき茸炒めの納豆あえ
●材料(2人分)
納豆 ……2パック
生シイタケ ……6枚分
えのき茸 ……1パック
酒 ……大さじ2
しょうゆ ……大さじ1/2
みりん ……大さじ1
万能ねぎの小口切り ……2本分

●作り方
(1) 生シイタケはじくをとって薄切りにし、大きい場合は半分に切る。えのき茸は石づきを切り取って水洗いし、半分に切る。
(2) 鍋に(1)を入れ、酒を加えて煮る。少ししんなりしてきたら、しょうゆを加えて水分がほぼなくなるまで煮る。最後にみりんを加えて、全体がからまるように混ぜる。
(3) 納豆をよく混ぜ、(2)を加えてよく混ぜ合わせる。器に盛りつけ、さつきを上に散らす。

D 納豆とシイタケのガーリック炒め入り、オムレツ
●材料(4人分)
納豆 ……2パック
生シイタケ ……4枚分
玉ねぎみじん切り ……50g
赤ピーマンの粗みじん切り ……小さじ1/2
にんにくみじん切り ……小さじ1/2
卵 ……3個
オリーブ油 ……大さじ3

●作り方
(1) 生シイタケを5ミリ角ぐらいに切る。フライパンにオリーブ油大さじ1を入れ、にんにくを加えて火にかけ、香りが出てきたら玉ねぎと赤ピーマンを加えて炒める。
(2) 玉ねぎがしんなりしてきたら、生シイタケを加えて炒める。
(3) 生シイタケがしんなりしたら、軽くこしょうを振る。納豆にしょうゆを加え、よく混ぜる。
(4) (3)のフライパンに納豆を加えて混ぜ、粘りが切れるくらいに炒める。そして火をとめる。
(5) 卵をときほぐし、塩、こしょうで下味をつける。別のフライパンを熱し、オリーブ油を大さじ1/2加えてあたため、卵を流し入れる。ひと呼吸おいてから(4)の納豆の炒めものを加え、菜箸で全体に広がるようにし、ふたをして中火で焼く。表面のまわりが少し固まってきたら、わきから残りのオリーブ油を流し入れ、フライを返しで反対側も焼く。底が焼けて卵焼きが動くようになったら火をとめ、大皿に卵焼きを移す。4〜8等分にし、サラダ菜などを添える。