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受動喫煙で動脈硬化のリスク増大。
納豆は動脈硬化を防ぐ健康食

 喫煙は百害あって一利なし。これは、動脈硬化の予防にもいえることです。特に最近わかった研究では、子供の受動喫煙によって、HDLコレステロールが減少し、将来、動脈硬化のリスクが高まってしまうことです。それを防ぐ意味でも、老若男女を問わず、HDLコレステロールを高めて、動脈硬化を防ぐ食品を摂ることが1つの予防策になります。

1.子供の受動喫煙でHDLコレステロールが低下

 親が家庭でたばこを吸い、受動喫煙にさらされている子供は、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールの値が低いことが、埼玉県熊谷市医師会の井埜利博医師(小児循環器)らの研究でわかりました。

 受動喫煙によって、成人後に心筋梗塞などを引き起こす危険が子供の時から高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きいということでした。このことは、3月19日から横浜市で開かれた日本循環器学会で発表されました。

 同医師会は、小学4年生の児童に行っている生活習慣病検診の際、親が喫煙しているかどうかを尋ね、子供の尿中に含まれるニコチン代謝物質の量を調査。その結果、両親とも喫煙している子供の6割、一方の親が喫煙者の場合は3割に、受動喫煙の証拠となるニコチン代謝物質が検出されたのです。子供に接する時間の長い母親が喫煙者の場合は、父親に比べて約2倍の影響がありました。

 尿中のニコチン代謝物質の量が多い子供ほど、血液中のHDLコレステロールが少なく、通常の子供より約1割低いという結果が出ました。たばこを吸うとHDLコレステロール値が低下し、心筋梗塞の恐れが高まることが知られていますが、小児の受動喫煙でも同様の危険があることが裏付けられたことになります。

2.納豆がHDLDLコレステロールを増加

 HDLコレステロール値の低い人は、高い人に比べて明らかに心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生率が高くなっています。たとえば、HDLコレステロールが35mg/dl以下の人と60mg/dl以上の人では約2倍の違いがあります。 逆にいえば、HDLコレステロールを正常値内の40〜60mg/dlの範囲内にしておくことが、動脈硬化を防ぐには大切だといえます。

 では、HDLコレステロールを増やす食べ物とは何でしょうか。ここでも、意外にもアルコールが活躍してくれるのです。

 アルコールは、善玉であるHDLコレステロールを増やす働きがあるという学説があります。さらに、アルコールは悪玉であるLDLコレステロールを減らす働きもあるとされています。動物性脂肪などのLDLコレステロールが多い食事を取っていると、動脈の壁にコレステロールがくっついて動脈硬化を起こします。

一方、HDLコレステロールは、動脈の壁にたまったコレステロールを取り除く働きがあります。ですから、HDLコレステロールは血管を広げることになり、高血圧や心筋梗塞などの心臓病を予防するとされています。

このHDLコレステロールを十分に働かせるためには、血中総コレステロール量を220mg/dl以下にして、 HDLコレステロールを40mg/dl以上に保つ必要があるのです。

そして、もうひとつが、納豆です。納豆の原料である大豆に含まれる大豆イソフラボンが、HDLコレステロールを増やし、動脈硬化を防いでくれるのです。 大豆イソフラボンは、植物の色素成分であるフラボノイドの一種で、特に大豆に多く含まれているといわれています。この大豆イソフラボンは血中のLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増加してくれるのです。HDLコレステロールが増加すれば、動脈硬化の予防効果もおおいに期待できます。

 アメリカでは、6カ月間、複数の高コレステロール血症の女性に大豆イソフラボンを投与する実験が行われました。その結果、悪玉であるLDLコレステロールは減少し、反対に善玉であるHDLコレステロールは上昇したといいます。

動脈硬化のリスクを軽減させるには、禁煙をすることが大事ですが、それと同時にHDLコレステロールを増やすために適度な飲酒を楽しんだり、納豆を積極的に食べることが大事だといえます。