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納豆発展の歴史

納豆のうまさに関西出身の兵隊さんもびっくり

第二次世界大戦中、日本海軍の軍医長をしていた江口有博士(海軍大佐)は、納豆の研究者としても、第一人者でしたが、昭和17年に、『納豆の普及が現下の急務』という書物を刊行し、「納豆」がいかにすぐれた食べ物であるかを力説しています。

内容をまとめてみますと、およそ次のようになります。

納豆のうまさに関西出身の兵隊さんもびっくり

1、米の副食物として、肉や魚を用いても、脂肪を別に補わなければならない時があるが、大豆ならただの一種でタンパク質と脂肪分を供給する。納豆には、米と肉と魚をいっしょにしたような効果がある。

2、納豆菌は、さまざまな病原菌に対して、すぐれた抗菌作用を持っているが、とくに効果的なのは、赤痢菌やチフス菌などである。これらの病気の予防には、大いに活用すべし。

3、納豆は、少量を用いれば、その風味と生菌効果によって、食欲を増し、消化を助ける。多量に用いる時は、大豆の三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)によって、米飯を節約し、カロリーの生産に役立つ。

4、このように、納豆は優れた食品であるから、日本ばかりではなく、諸国に提供し、健康増進に役立てたい。

当時、納豆は関東や東北地方など地方特有の郷土食的なイメージが強かったのですが、戦時体制に入って配給制度によって、初めて納豆のうまさを知った人も多く、戦後、軍隊の解散によって、それらの人々が全国各地に拡散して行き、納豆の普及にたいへん役に立ったのです。

関西や四国、九州、沖縄地方の出身兵は、最初のうちは気味悪がって、なかなか口にしなかったそうですが、一度その味をしめると、すっかりとりことなり、東北兵よりも熱心に、納豆の出る日を待ち望んだと伝えられています。現在の全国的な納豆ブームからは、考えられない時代があったのですね。