年齢の増加に伴って発生しやすくなる「成人病」には、がん、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、糖尿病など、さまざまなものがあります、成人病の大きな特徴は、生活習慣、とくに食生活に強く影響される点です。最近では食生活が欧米型となり、脂質の割合が増加。
その一方で、野菜類などの割合が低下しています。これまで欧米に多かった大腸がんにかかる人が増えているのは、繊維質の摂取量が足りないためだと考えられています。また、糖尿病にかかる人の低年齢化が問題視されていますが、これはカロリー過剰の食生活がもたらしたものと考えられています。
納豆をはじめとする「大豆入り食品」は、古来から日本人が慣れ親しんできた伝統食です。大豆には、良質なタンパク質のほかに、繊維質も大量に含まれています。大豆を丸ごと、消化吸収しやすい状態で食べることができる納豆は、大豆の栄養素のみならず、納豆菌や菌が作り出す多様な酵素を摂取することができます。身体をつくる栄養素も、健康を維持する有効成分も豊富に含む「納豆」を見直すことは、私たちの食生活そのものを見直すことにもつながっています。
成人病という観点から納豆の特徴を分析すると、血管障害を改善する、骨粗鬆症を予防する、がんに有効、この3つを特筆すべき点としてあげることができます。
とくに最近注目を集めているのが、納豆には活性酸素を抑制する働きがあるということです。活性酸素は、DNAなどを傷つけ、がんや動脈硬化などの成人病を引き起こす原因となるものと考えられています。大豆は、体内の過剰な活性酸素を抑制する物質として、イソフラボン、ビタミンEを含みますが、納豆にはさらにアデノシン・ウルシル・トリプトファン、カタラーゼなどの抗酸化物質が存在し、活性酸素を強力に抑えることができるのです。
このほか、納豆に含まれる成分を、成人病と対比してみると次のようになります。
ナットウキナーゼ→血栓を溶かすため、脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞などの予防・治癒などに有効
サポニン→血管柔軟にして、動脈硬化、高血圧などに有効
水溶性ペプチド→血糖値を下げるため、糖尿病を改善
リノール酸→悪玉コレステロール値を下げ、動脈硬化や心臓病を予防する
イソフラボン→ホルモンの役目を果たし、骨粗鬆症を防止
ビタミンK2→骨を丈夫にし、骨粗鬆症を防止
セレン→抗がん作用
成人病を予防するためにも損なわれた健康を取り戻すためにも、納豆を中心に据えて、食生活の改善を試みてはいかがでしょうか。