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第11回全国納豆鑑評会

本日、2月17日(金)に静岡県熱海市のホテル大野屋で第11回「全国納豆鑑評会」が開催されました。 全国納豆鑑評会は、全国納豆協同組合連合会(納豆連)に加盟する全国の納豆製造メーカーが1メーカー1製品、市販している自社納豆を出展し、その中から本年度の納豆日本一を決める恒例の行事で、納豆の製造技術、および品質の向上を目的として行われます。
第1回の東京大会を皮切りに全国各地で開催され、昨年は福島県福島市で開催されました。第11回目となる今回の鑑評会は、静岡県熱海市のホテル大野屋で開催され、122メーカーの商品が出展。色・形・におい・糸引き・味の五つの項目を評価し、5点満点の整数で出展納豆それぞれに点数をつけて審査が行なわれました。当日は地元メディアを含め多数のメディアが会場に訪れ、納豆に対する関心の高さがうかがわれました。
栄えある最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞したのは、株式会社中田園(北海道)の「えだ豆納豆」で、今回が初の受賞となります。 来年度、第12回全国納豆鑑評会は山形県で開催される予定です。

以下、審査員のコメントを付記します。

講評

高星進一 納豆連会長

高星進一 納豆連会長

納豆連の使命は消費者にとってより良い納豆を提供することであり、この全国納豆鑑評会への出展を通して安心、安全であることはもとより、より良い味の納豆を提供することを目指しています。 今回で11回目という事もあり、鑑評会の全体的な傾向として、昨年よりも出来の良い納豆が多かった。 糸引きが強いものが多く、大豆本来の甘みやこくがしっかりとした作品が多かった。色に関しては気候のせいもあるのか、いくつか劣るものも見受けられたが、全般的にはあめ色をしたつやのある色の良いものが多かった。
審査に関しては、今年が初めての審査員も多く独特の緊張感が感じられる審査となった。
審査項目のうち、糸引きや発酵は申し分ない物ばかりであったため、今回の審査の5点満点中4点・5点の差は主に豆の硬さをポイントとして点数をつけた。 納豆のうまみは、気候による湿気、通風性の良さなどに左右され、それらがうまく重なるとしまった発酵となり、うまみが一層増す。来年の鑑評会でも、より納豆の味の向上に期待している。

永山久夫 先生 (食文化史研究家)

永山久夫 先生

会を送るごとにレベルアップしている印象を持った。 本年度はオーソドックスな作品を出展している企業が多い気もするが、この鑑評会に合わせて工夫している企業も多く見られた。 評価のポイントは、糸引きに重点を置いた。糸を吹いて切れない程の強い糸引きがある納豆が多かった。今回は過発酵の納豆は少なく、発酵技術が向上していることを感じる。 やや大味のものも見受けられたのが残念だが、最終審査に近づくにつれてレベルの高い作品が多くなり、点数の差が付けにくかった。 日本は長寿国と言われている。大豆食品は現代人の生活の中で長生きを助ける役目をしている。納豆の消費が伸びれば、より長寿国になると思う。

早田邦康 先生 (自治医科大学 医師)

審査員を務めるのは今回で2回目だが、今年は個性に欠けた出展が多いという印象を持った。審査のポイントはいわゆる納豆らしいものに重点を置いた。良い匂いがする納豆を中心に納豆らしさのある、はっきりとした歯ごたえと、食べ終えた後の爽快感を重視した。

吉良元雄さん (納豆連副会長)

今年の傾向として出展納豆は平均化している。工場から会場までの出荷のタイミング、すなわち流通での発酵過程を考慮して出荷をしている納豆がベストである。
今回は、そのベストを過ぎている納豆も多く見受けられた。
流通過程を考慮していないと色合いにも糸ひきにも影響がでてしまう。

笹沼隆史さん (納豆連副会長)

今年は見た目が悪くても食べると味のある納豆が多かったように思う。
会場の室温がやや高いこと、また時間の経過によって見た目が悪くなっている納豆が多かったが、豆の蒸煮や浸漬にこだわった製法で作られている上質な味の作品も多かった。

石川味知子 先生 (生活文化研究所 主催)

石川味知子 先生

納豆を鑑評するという大会自体が楽しい審査であった。
納豆はすべて同じだと思っていたが、まったく違う様々な作品を味わうことができ、納豆の本来のおいしさを実感できた。
普段食べる納豆は調味料を入れすぎていて、その味に慣らされてしまった。調味料に頼らず、納豆本来のおいしさをアピールして欲しい。
主婦の観点では、納豆は食べた後の器を洗ったりするのに手間がかかるというイメージがあるが、60度以上のお湯につけると簡単に洗えるということを伺った。納豆メーカー各社様は、今後そのような後片付けなども含めて納豆をPRしてみてはどうかと思う。またパッケージなどのネーミングやコピーなどを工夫して“納豆本来のおいしさ”というものを訴求してもらいたい。

須見洋行 先生(倉敷芸術科学大学 教授)

須見洋行 先生

甲乙つけがたい質の高い出展が多かった。
第二次審査では、特に大粒部門での発酵状態のすばらしさに感心させられた。
昨年度は整数で2点から5点までの幅広い点数をつけたが、本年度は4点・5点が多く質の高さを感じる。もう一粒食べたくなるような色、納豆らしい香りが最終的には審査のポイントであると感じた。本年度は特に技術の向上、豆の粒の均一化を強く感じる鑑評会であった。

えだ豆納豆

本年度 入賞作品(中央が最優秀賞の「えだ豆納豆」)