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  3. 第17回全国納豆鑑評会 結果講評

今年度の日本一おいしい納豆は
(株)豆蔵の「つるの子納豆」に決定

青森県は、食料自給率が100%を超える、国内でも有数の農業生産地です。りんごやにんにくの生産は日本一で、納豆には欠かせないおいしい大豆の生産地でもあります。青森県青森市の「青森国際ホテル」にて、平成24年2月17日(金)に第17回「全国納豆鑑評会」が開催されました。

全国納豆鑑評会とは、全国納豆協同組合連合会(納豆連)が主催する品評会で、日本一の納豆(農林水産大臣賞)を決定する毎年恒例の大会です。納豆の製造技術の改善と品質の向上を目的として始まり、第1回の東京大会を皮切りに全国各地で開催されてきました。昨年度の第16回は札幌でした。青森県での開催は初めてです。

審査対象となる納豆は、納豆連に加盟する納豆メーカーが自社製造する納豆。今回は総出品数が224点で、その内訳は小粒・極小粒部門で79点、大粒・中粒部門で81点、昨年度新設されたひきわり部門で41点、同じく昨年度新設されたアメリカ大豆部門で23点でした(1メーカー各部門1点までの出品)。審査するのは、研究者、文化人、食品関係者、省庁関係者など総勢30名。評価方法は「色・ 形・香り・糸引き・味」の5項目においてそれぞれ5点満点で評価されます。

そして今年度、栄えある最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞したのは、(株)豆蔵の「つるの子納豆」。このほか、小粒・極小粒部門および大粒・中粒部門から、優秀賞が各3点と優良賞が各2点、さらに特別賞として青森県知事賞が1点、東北農政局長賞が各部門1点、永山久夫賞が各部門1点、ひきわり部門から納豆連会長賞が1点、アメリカ大豆部門からRed River Valley U.S. Awardが1点選出されました。これら入賞した商品は、5年間にわたり、パッケージに受賞した賞を明記する栄誉が与えられます。

集計作業中には会場内において、世界納豆普及協会主催の「第2回世界納豆まぜまぜ選手権」および「第2回世界納豆のびのび選手権」が開催されました。「まぜまぜ選手権」は、昨年度の最優秀賞受賞納豆をもちいて納豆を混ぜる動作の美しさと混ぜる回数を競うもので、地元青森はもとより、東京やアメリカからの参加者を含む5組10名により、華麗な戦いが繰り広げられました。優勝はアメリカのコンビで242回/分という世界記録が樹立されました。「のびのび選手権」は、昨年度の最優秀賞受賞納豆をもちいて混ぜた納豆から伸ばした糸の長さを競うもので、5組10名の参加者により、熱戦が繰り広げられました。2組が競技室の壁まで到達し、15mもの大記録を打ち立てたため決勝をおこない、7mの記録にて青森のコンビが優勝しました。

次に、自治医科大学附属さいたま医療センターの早田邦康准教授による講演「納豆=長寿の源であるポリアミンの王様」が行われました。また、納豆連の納豆を通じた被災地支援「がんばろう!日本!納豆屋プロジェクト」についての説明がなされました。さらに、青森県納豆協同組合から、青森市社会福祉協議会へ納豆を贈呈いたしました。来年度の第18回全国納豆鑑評会は栃木県で開催される予定です。

以下、審査員のコメントを付記します。

講評

全国納豆協同組合連合会 会長 笹沼隆史さん

全国納豆協同組合連合会 会長 笹沼隆史さん

全体的にいい納豆であり、差をつけるのに困りました。平均的においしかったです。ただし、見た感じには、差が出てしまいますね。ぱっと見て、いいなと判断できるものが何点かありました。

須見洋行先生 (倉敷芸術科学大学 教授)

須見洋行先生(倉敷芸術科学大学 教授)

みな、おいしくなっていて、差をつけるのが大変でした。高品質のところに集まっていました。ただし、納豆は空気にさらされると、短時間でも色が変化してしまいます。出品数が多いと、審査中にもどんどん変色してしまうので、はじめに全体を見回りました。自分なりの選び方がありまして、ご飯の上に納豆を乗せた様子を想像して、評価しています。

早田邦康さん(自治医科大学さいたま医療センター 准教授)

早田邦康さん(自治医科大学さいたま医療センター 准教授)

ひきわり納豆は品質が一定したところに集まっており、自分の好みで判断するしかありませんでした。アメリカ大豆部門はばらつきがあり、おいしいものは非常においしかったです。どちらも最終的には、自分が一般人として買うかどうかという点から評価しています。

永山久夫先生 (食文化研究所 所長)

永山久夫先生(食文化研究所 所長)

今年は寒いので、納豆菌がよく発酵してアミノ酸が増えて、おいしい納豆になっていると思います。甲乙つけるのが難しいですね。今年の傾向としては、大粒がうまいです。粒で食べたとき、うまみを感じる力が強いです。全体的に毎年うまくなっています。

長谷川裕正さん(茨城県工業技術センター 食品バイオ部門長)

長谷川裕正さん(茨城県工業技術センター 食品バイオ部門長)

ちょっとチロシンが出ていて、しゃりしゃりっとするものがありました。うまみは古くなるのと同じなので難しいです。うまみがしっかりとあるものが少なかったです。高得点のついたポイントは、見た目、色の具合、色の冴え、てりがあって、糸引きがしっかりしているものですね。食べたとき、なめらかな粒で弾力性のある食感のものがいいですね。

中村雅子さん(「ふるさとの味倶楽部」主宰 フードコーディネーター)

中居敏さん(北海道納豆工業組合理事長)

ひきわりは、細かければよいわけではなくて、自然な感じに仕上がって、納豆が本来持っている香りが出ているものがよいと思います。ひいたからといって、元の味が薄れるわけではありません。最終的には自分の好みですね。粒の納豆のほうは、色の濃いのがあって驚きました。とても風味がよかったです。

阿部 馨さん
(地方独立行政法人青森県産業技術センター 弘前地域研究所 総括研究管理員部長事務取扱)

山際睦子さん(社団法人 北海道栄養士会 食育推進委員会委員長)

いいのがいくつもあって、評価に迷い、何度も食べました。いいところに集まっていました。ひとつだけ、これはいいというものがありました。箸でつかんだとたんねばりが出てきて、食べるとねばりがあって、口に入れるとうまかったです。悪いのはなく、すべておいしかったです。

工藤茂雄さん(青森県納豆協同組合理事長)

工藤茂雄さん(青森県納豆協同組合理事長)

レベルが高く、甲乙つけがたかったです。みんな柔らかめだったので、さくっとおいしいのがいいと思います。味とうまみがぽんと抜けてくる作り方をしているところがありました。悪いものはなく、味は差別化しにくかったです。

納豆写真

本年度入賞作品(写真下中央が最優秀賞の「つるの子納豆」)

鑑評会の風景

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