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美意識の高い女性から注目を集める
21世紀の美容食・納豆

 エステティックサロンの市場規模の増大からも推測できるように、近年、女性の美に対する意識は急速に高まりつつあります。エステなどで体の外側から体をケアすると同時に、体の内側から、つまり食品などで肌を若返らせることで、さらに強力なアンチエイジング効果が得られます。納豆には細胞を活性化したり、老化を抑制したりするなど、美容効果の高い成分が豊富に含まれています。まさに21世紀の美容食といってもよいでしょう。

1.美意識の高まりからエステ市場が拡大

 エステティックサロン、いわゆるエステは美しさを追求する女性にとって欠かせない存在になってきました。エステ業界は、健康や美しさへの関心の高まりに伴い、サロン店舗数は増加し、市場規模も拡大化の傾向にあります。そして近年では、女性を対象としたサロンだけでなく、男性向けのエステティックサロンも登場してきました。さらに、高齢化社会に向けた市場への意識も高まりつつあり、老若男女を問わず、エステの需要は今後も伸びていくことが予想されています。

2.体の内側から美を磨くことが大事

 エステで髪や肌をケアすることは、美に磨きをかけるためには必要不可欠です。それに加え、体の内側から美しくすることも忘れてはいけません。いつまでも美しい肌は、体の外側と内側の両方をケアしていくことで、初めて輝きを放つことができるといってもよいでしょう。

 では、体の内側からきれいになるということは、どういうことが大事になるのでしょうか。当然のことですが、健康でなければ美しい体とはいえません。逆にいえば健康であることが、もっとも美肌への近道になるのです。私たちの健康を維持し、なおかつ美肌へと導いてくれるものが、食品です。

 では、エステに通う女性たちは健康や美容によいものとして、どんな食品を積極的に食べているのか。とても興味深いテーマですが、このほど某大手エステティックサロンが利用者の食生活などについてアンケート調査を実施しました。対象は20〜30代の女性33名。そのうち29名の女性が、美容のために摂取しているという飲食物がありました。そのなかで、単独の食品として第一位になったのが、納豆だったのです。

 しかも、美容のために積極的に納豆を摂取している人は、そうでない人と比べて肌の決め細やかさ、潤いなど、美肌の要素となる基準が高いことが判明しました。さらに納豆を食べる頻度が多い人ほど、肌質も高いという結果が出たのです。

 この結果から、納豆を食べれば肌はきれいになり、しかもその頻度が多い人ほど、美肌効果が出ているという仮説を立てることができます。では、実際に納豆に美肌効果があるのか。それを見ていきたいと思います。

3.納豆のレシチンとビタミンEが肌の老化をストップ

 人間の体は、約60兆個の細胞からできています。この細胞を包み守っている膜(細胞膜)に存在する基礎物質の1つが納豆の原料である大豆に豊富に含まれているレシチンで、細胞に必要な栄養素を細胞内に取り入れたり、逆に不必要な老廃物を排出したりする働きを担っているのです。

 つまり、健全な細胞を維持していくためには欠かせない物質が、レシチンなのです。レシチンが不足すると、細胞の新陳代謝がうまくいかなくなり、心身ともに不調が生じやすくなります。逆にいえば、納豆を常食し、レシチンを十分に補給できていれば、細胞は生き生きと活動を続けられるということです。

 体内の細胞が活性化すれば、当然、若さを維持することも期待できます。実際、納豆に含まれるレシチンは若返りの成分といえるほど、私たちの老化を食い止める役割を果たしているのです。 加齢とともに体内には老化を促進させる過酸化脂質という物質が増えてきます。この過酸化脂質は、たんぱく質といっしょになるとリポフスチンという黄褐色の顆粒を合成し、細胞の核近くに沈着していきます。これが、老人性のシミの原因ではないかと考えられているのです。

 老人性のシミを予防し、美肌を維持するためには、リポフスチンを分解しなければいけません。現在、リポフスチンを分解するものとしては、納豆などに含まれるレシチン、同じくビタミンEなどが知られています。これらを積極的に摂取すればリポフスチンの分解が期待でき、老人性のシミを予防し、美肌を維持できるというわけです。

 そのなかでも、納豆は最強の美肌食といえるかもしれません。というのは、納豆はレシチンだけでなく、ビタミンEも豊富に含んでいます。じつは、レシチンとビタミンEの組み合わせは、肌などの若返り効果を高めてくれるのです。

 ビタミンEは、高い抗酸化作用を持っています。つまり、酸化する(サビつかせる)のを防いでくれるのです。レシチンには不飽和脂肪酸が含まれており、それは体内に入ると酸化しやすいという欠点があります。不飽和脂肪酸が酸化すると、レシチンの働きが弱くなり、若返り効果も落ちてしまいかねません。しかし、ビタミンEといっしょに摂取すればレシチンの不飽和脂肪酸が酸化することなく、若返り効果も期待できるというわけです。そして、レシチンとビタミンEを豊富に含んでいる納豆は、最も合理的な肌の若返り食といっても過言ではないでしょう。

 レシチンは、人間の細胞のなかには必ず存在するものですが、ストレスが多く、栄養バランスが乱れがちな現代人には不足傾向があります。また、加齢とともに細胞の新陳代謝が落ち、肌の潤いなども失われていきます。それをストップし、いつまでも若々しさを保つためにも、レシチンとビタミンEを含む納豆の常食はたいへん有効な手段だといえるでしょう。

4.納豆のポリアミンが老化因子を抑制

 人間はだれでも年をとっていきます。それにつれて肌の老化も進んでいきます。ある程度の老化はしかたがありませんが、できるだけそれを抑えたいという気持ちは誰もが持っていることでしょう。

 もし老化を遅らせるものがあれば、若さを維持できるのに……。そんな願いを現実にしてくれるかもしれない成分が発見されました。それが、納豆にたいへん多く含まれている、ポリアミンという物質です。

 ちょっと難しい話になりますが、生物の体内には年齢と共に増加する老化因子というものがあります。老化因子は血管を傷つけ、それがもとで動脈硬化を引き起こします。「人は血管から老いる」といわれますが、それを促進してしまうのが、老化因子。動脈硬化によって血管が老いてくれば、当然、肌にも悪影響が出て来ます。その老化の大敵ともいえる老化因子の増加を抑制してくれるのが、納豆に多く含まれるポリアミンなのです。

 ポリアミンは、新しい細胞を作るときに必要な物質であり、私たち人間や全ての動物の細胞内で合成され、成長期にはたくさん生成されますが、加齢に伴なって減少していきます。よって、若々しさを保つためには体内のポリアミンを増やす必要があるといえます。

 老化を防ぎ、いつまでも若々しさを保つには、体内のポリアミンを増やすのがポイントになってきます。そのポリアミンを増やす最大の方法は、ポリアミンの入った食材を定期的に摂取すること。納豆のポリアミン含有量は他の食品に比べて非常に多いということがわかっています。ですから、納豆を常食することでポリアミンが補給でき、それが老化因子を抑制。結果的にアンチエイジング効果が得られるというわけです。

5.コラーゲンの働きを活性化する大豆イソフラボン

 ストレス、食生活の偏りなどから女性ホルモンのバランスが崩れている女性が増加傾向にあります。女性ホルモンは脳からの指令を受けて分泌されるものですが、多すぎたり少なすぎたりすると、肌荒れや吹き出物など、肌にも悪影響を与えることがあります。

 そんな症状を緩和してくれるのが、納豆の材料である大豆に含まれるイソフラボンです。1日あたり1パック(50g)の納豆をとることで体内の女性ホルモンが多すぎるときは抑え、少なすぎるときは補ってくれます。

 女性ホルモンの「エストケゲン」は、いわゆる若さのホルモン。イソフラボンはエストロゲンと似た構造をもっているため、若々しさをキープしたい女性にとっては、とても貴重な成分だといえます。イソフラボンにも種類がありますが、大豆から抽出した大豆イソフラボンは、女性ホルモン剤の原料としても使われるほど強力な効果があるのです。

 大豆イソフラボンの働きとして、もう1つ注目したいのが、コラーゲンの代謝を活発にしてくれる点。コラーゲンとは、細胞をつないでいる細胞間物質に多く存在する体の土台となる物質です。

 そのコラーゲンの新陳代謝(合成と分解のバランス)が衰えると、体内のコラーゲン含有率のうち、古いコラーゲン(弾力性のないもの)の割合が多くなります。そうなると、皮膚組織が萎縮してシワがでてきたり、保水能力の低下によって皮膚がかさついたりするのです。

 それを防ぐためには、コラーゲンの新陳代謝を活性化させることが大事。大豆イソフラボンは、コラーゲンの働きを活性化し、肌を美しく、すこやかに保ってくれるのです。

6.納豆に含まれるさまざまな美肌成分

 レシチン、ビタミンE、ポリアミン、イソフラボンと、納豆は美肌成分の宝庫といえます。でも、それ以外にも納豆には多くの美肌成分が含まれているのです。簡単ではありますが、順に見ていきましょう。

タンパク質
 たんぱく質は全身の細胞主原料であり、皮膚の若さを保つために欠かせない3大栄養素の1つです。納豆の材料である大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高く、たんぱく質を構成するアミノ酸20種類のうち18種類が豊富に含まれています。ちなみに納豆で補えないアミノ酸は牛乳、肉、魚でカバーできます。

ビタミンB2
 ビタミンB2は細胞の再生を促し、健康な皮膚や髪、爪を作ってくれます。そのビタミンB2は大豆に多く含まれていますが、納豆の場合は納豆菌からも作り出されることから、大豆以上に多く含まれています。ただ、ビタミンB2は体内に貯めておくことができません。そのため毎日、納豆などから摂取する必要があります。

カリウム
 細胞は内側にカリウム、外側にナトリウムが多い状態でバランスが保たれています。これは皮膚細胞も同じですが、細胞が新陳代謝を行うとカリウムが減ってきます。このとき体内にカリウムが多くあると細胞内にカリウムが取り込まれて、細胞は正常な働きを保つことができます。しかし、食事で摂るカリウムの量が少ないとカリウムの代わりにナトリウムが取り込まれ、細胞の働きが不十分になってしまうのです。その意味でも、毎日カリウムを摂取することが望まれます。カリウムは皮膚細胞を活性化し、皮膚の再生も進めてくれるのです。

亜鉛/マグネシウム
 細胞は酵素の化学反応によって新陳代謝のほか、さまざまな働きを行っています。酵素が働くときには補酵素が必要になります。亜鉛は約200種類、マグネシウムは約300種類の酵素の補酵素となり、皮膚細胞の再生のためにも、この2種類のミネラルは欠かせないのです。

7.体を内側からきれいにする納豆

さて、話を元に戻しましょう。エステでの調査結果が示したように、なぜ納豆を常食していた人の肌がきれいだったのか。それは納豆に含まれている豊富な美肌成分の複合効果によるものだったのではないでしょうか。

これまでお話してきたように、納豆にはさまざまな美肌成分が含まれています。これほど多くの肌や若返り成分を含む食品は、納豆以外にはなかなか思い浮かびません。その意味では、納豆は日本が誇る、最強の若返り食、美肌食といっても過言ではないでしょう。

 ただ、エステでのデータでは積極的に摂っている美容食の第一位となりましたが、それでも全体の3割程度でした。決して、高い数字ではありません。美容のために納豆を食べている人は、残念ながら現時点ではそれほど多いとはいえないのです。しかし、エステの市場拡大からもわかるように、女性の美、若さに対する関心はますます高まっています。納豆が美容に効果があることが認知されていくにしたがって、納豆を常食する人はさらに増えていくことが予想されるでしょう。

 体の外側から美を磨くことはとても効果があります。今後はそれに加え、体の内側、つまり食品で老化を防止、肌を若返らせることが、アンチエイジングの1つの柱になることは間違いありません。そのためにも、毎日摂取することで大きな効果をもたらしてくれるのが、納豆なのです。