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難問を解き、納豆を食べることで頭の働きがよくなる

 高齢化社会が進み、国民の5人に1人が65才以上になりました。平均寿命が長くなるのはいいことですが、ボケてしまうなど脳の働きが低下してしまうのはいただけません。長寿社会だからこそ、体だけでなく頭も元気に保つことが重要になってくるのです。先日、「難問」が頭の働きを高めるという研究報告がありましたが、これもボケ防止の1つの方法ではないでしょうか。また、納豆にもボケを防止し、頭の働きをよくする成分が豊富に含まれています。納豆を食べて、いつまでも頭の働きをよくしていきたいものです。

1.難問でボケ防止?

 世は計算式などによる「脳力」開発ブームですが、またそれを裏付けるかのような実験結果が出ました。勉強などで難しい問題を解いている時などに出る脳波(シータ波)に、脳の“記憶装置”の神経細胞を増やす働きがあることが、東京大学大学院新領域創成科学研究科の久恒辰博助教授らによって解明され、このことは9月15日付の米医学誌ニューロンで発表されました。難問を解くことで、記憶力が高まっていくかもしれないという、画期的な研究報告です。

 久恒助教授らは、マウスの脳の海馬と呼ばれる記憶を司る場所でシータ波に近い電気刺激を与えました。すると、細胞が刺激されてGABAという物質が放出され、海馬の細胞の分裂を促すスイッチが入る一連の経路を確認することができました。つまり、シータ波によって、海馬の細胞分裂が活発になったということがいえます。ちなみにシータ波は、人間が難しい問題を解こうとしたり、新しい課題に直面して集中したりしている時などに出る脳波のことです。

 また、マウスに、GABAの濃度を高める薬剤を1日1回、1週間注射すると、1カ月後には何もしないマウスに比べ、海馬で新しくできる神経細胞の数が約1.5倍も多くなりました。

 うつ病や認知症などの患者は、脳内のGABAの濃度が薄くなり、海馬で新たに生まれる細胞が少なくなっていきます。久恒助教授は「脳の神経回路を再生し、記憶力を改善する薬の開発にもつながる」と話しています。

2.日本人の美の立役者は納豆!?

 難しい問題を解いて脳の機能を高めると同時に、食品でも脳を活性化したいものです。そうした「健脳食」の代表的なものの1つが、納豆です。

 アルツハイマー型痴呆や脳血管性痴呆の人たちは、正常者と比較して、尿中に排泄されるカルシウムの量が多い傾向にあります。このため痴呆症にはカルシウム不足が影響しているのではないか、とも考えられています。カルシウムは骨粗鬆症だけではなく、痴呆にも大きく関係している可能性が大なのです。

 カルシウム不足が痴呆症の一因ならば、納豆などカルシウムを豊富に含むものを日常的に摂取する必要があります。しかも、納豆にはイソフラボンも含まれており、これはカルシウムの流出を防ぐ効果があるのです。

 また、痴呆症の予防には、納豆の原料である大豆に多く含まれるレシチンも有効です。レシチンにはコリンという成分が含まれていますが、これは脳の伝達物質であるアセチルコリンを作るもと。このことから、レシチンは脳の働きを活発にし、痴呆を予防すると考えられています。

 さらにレシチンは脳細胞膜の重要な構成物質でもあります。脳細胞膜が生き生きとしていれば、痴呆症の心配もそれだけ少なくなります。それどころか、記憶力、集中力、学習能力、思考能力など、脳の神経活動の活発化も十分期待できるのです。

 9月19日の「敬老の日」に合わせて、総務省は18日、高齢者の推計人口(15日現在)を発表しましたが、それによると、65才以上の高齢者は前年比71万人増の2556万人(男性1081万人、女性1475万人)ということでした。総人口に占める割合は20.0%で、初めて2割に達したのです。人数、比率ともに過去最高で、国民の5人に1人が65才以上となりました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢者の割合は10年後には26%に上昇し、「国民4人に1人」になる見込みだといいます。

 こうした高齢化社会を元気でボケずに生きていくためにも、納豆を常食することは有効な方法の1つです。毎日1パックの納豆が、健康で楽しい老後をつくるといっても過言ではないかもしれません。