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調理することで脳の働きがアップ!
納豆を食べることでさらに脳が活性化!

料理を習慣づけることで人間の脳機能が向上することが東北大学未来科学技術共同研究センターの川島隆太教授と大阪ガスの共同研究で確認されました。これは、子供にも大人にも共通しています。つまり、料理を習慣化することで脳は確実に活性化し、子供の場合なら学習機能の向上、大人の場合は物忘れなどの防止につながるわけです。

また、食材によっても脳の活性化が期待できます。とくにチョコレート、青魚、そして、納豆は最高の「健脳食」のひとつといえそうです。なかでも納豆には脳を活性化するための成分が豊富に含まれています。それだけでなく、精神状態を安定化させる効果もあり、俗にいう「キレる」といった状態になることも防いでくれるのです。

1.料理で頭の機能が高まる

料理を継続して行うことで、脳の機能は向上する。「調理をする」という行為が、脳にたいへん好影響を与えることがわかりました。

「脳を鍛える大人の音読ドリル」などで知られる、東北大学未来科学技術共同研究センターの川島隆太教授と、大阪ガス(株)では、近赤外線計測装置(以下、光トポグラフィ※)を用いて、調理中の脳活動の計測実験を実施しました。

その結果、「メニューを考える」「切る」「炒める」「盛り付ける」のどのプロセスでも、安静時と比較して脳が活発に活動していることがわかりました。

具体的にいうと、2004年、子供や成人女性を対象に、実際の住宅内にある台所で、夕食の献立を考えることからガスコンロを使っての調理、盛り付けまでを行い、「調理中は、脳が活発に活動する」ことを確認しました。このように光トポグラフィを使用した調理中の脳活動の計測実験は、世界で初めてのものでした。

2005年には定年退職後の男性を対象にした実験(脳機能テストにて計測)が行われ、調理習慣によって脳機能が向上するということが実証されました。

川島教授は単純計算や音読、他者とのコミュニケーションの行為が、左右の大脳半球の前頭連合野を活性化し、脳機能を発達、改善させることを実証しています。では、料理の場合はどうなのか……ということを調べるために、これらの実験を行い、調理における脳活動の計測を行ったということです。

その結果、川島教授によれば、「調理を行うこと」によっても、音読や単純計算、他者とのコミュニケーションの実証事例に見られたような前頭連合野の活性化が見られるということです。そして、「調理を行うこと」によって前頭連合野を鍛えることも十分可能だといいます。

前頭連合野が活性化すれば、大人であればコミュニケーションや創造力等社会生活に必要な能力向上が期待でき、子供であれば前頭連合野の働きである情操面や抑制力等、情緒の安定に結びつきます。

つまり、大人も子供も調理を行うことによって、脳は活性化すると考えてもいいでしょう。
※光トポグラフィ……光トポグラフィとは、頭皮上から頭蓋内に弱い近赤外線を照射し、再び頭皮上に戻る反射光を検出することで大脳皮質の血流量を検出し、その変化から脳活動を計測する機械のことです。

2.魚からチョコまで健脳食のいろいろ

頭がよくなる食品はいくつも知られています。今回は、そのなかでもとくに効果が高いといわれるものを、もう1度おさらいしてみましょう。なかでも、納豆は脳の活性化につながる成分が8つもあり、ある意味、健脳食の王様といっても過言ではないでしょう。

その1 チョコレート

チョコレートの原材料であるカカオ豆の学名は「テオブロマ・カカオ」といい、18世紀のスウェーデン人科学者・リンネによって命名されました。「テオブロマ」とは、"神の食べ物"というギリシャ語で、その名の通り、カカオポリフェノールを始め、良質の脂肪分、食物繊維など、カカオにはさまざまな薬効成分が含まれていることが知られています。

では、チョコレートの中に含まれている成分で、頭をスッキリさせたり記憶力を助けたりする成分を、いくつか見ていきましょう。

テオブロミン
大脳皮質を刺激し、集中力、記憶力、思考力を高め、やる気を出します。カフェインの仲間ですが、カフェインに比べて興奮作用がずっとマイルド。また、自律神経を調節する作用があり、リラックス効果も大。欧米のホテルにはベッドサイドにチョコレートが置いてあることもあります。

ブドウ糖
脳は、その重さが全体重の約2%に過ぎないにもかかわらず、消費エネルギー全体の20〜30%を使ってしまうほどの食いしん坊です。その脳にとって、唯一の栄養素がブドウ糖。脳をはたらかせるエネルギー源となるばかりか、脳の神経伝達物質・アセチルコリンの材料ともなります。

香り成分
フェニルアルデヒド、ジメチルピラジン、フェニルメチルヘキサナールなど、チョコレート特有の香気成分は、中枢神経系に作用して集中力を高める作用があり、また注意水準を向上させることも認められています。

ビタミン、ミネラルなど
チョコレートに含まれるビタミンEやナイアシンなどのビタミン類や、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リンなどのミネラルも脳の代謝に必要な栄養素です。また、カテキンやアントシアニンなども脳血管内で抗酸化作用を発揮し、ボケ予防に効果があるといわれています。

その2 青魚
サンマやサバ、イワシ、マグロ等の青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる成分が多く含まれています。この成分が脳を活性化してくれるのです。

DHAで頭がよくなる
脳には約140億個の細胞があるといわれていますが、この細胞にはニューロンという突起した神経細胞があります。このニューロンから伸びた突起と他の神経細胞が結合している部分をシナプスといいます。シナプスは電話局や放送局のような働きがあり、ここでさまざまな情報の伝達が行われています。DHAはシナプスに入ることができ、情報処理能力に大きく関係しているのです。具体的にいうと、DHAが多いほど、シナプス膜を柔らかくすることができ、情報伝達もスムーズに行くと考えられています。つまり、「魚をたくさん食べると頭がよくなる」といわれているのは、あながちうそでもない、といえるでしょう。

老化やボケも予防できる!
高齢化社会になるにつれてお年寄りが増え、認知症の老人も増加傾向にあります。脳血管性痴呆の場合、脳の血管が詰まり、損傷するために起こります。でも、DHAを十分にとり、絶えず脳の状態をよくしておくと、こうした痴呆を予防することにもつながるはずです。その意味でも、青魚からDHAを積極的に摂取し、脳の状態をよくしていきたいものです。

3.納豆は最高の健脳食

チョコレート、青魚など、脳を活性化する食品はいろいろあります。そのなかでも、最も効果が期待できるものの1つが、納豆なのです。納豆には、脳を活性化する成分が、じつに8つも含まれています。では、納豆の脳に与える効果を順番に見ていきましょう。

レシチン 〜記憶力・学習能力を高める

納豆の成分のなかでも、こと記憶力に関してはレシチン抜きには語れません。これまでも、多くの動物実験でレシチンの記憶力や学習能力に関する実験が行われました。たとえばレシチンを加えたエサを食べた母親ラットから生まれた子ラットは、優れた学習能力を持っているそうです。神経伝達物質のアセチルコリンは、レシチンをとることによって働きが活発になると考えられています。

1999年、アメリカのサフォードとボーネルが次のような実験を行いました。50才〜80才の健康な中高年を2つのグループに分け、1つのグループにはレシチン大さじ2杯、もうひとつのグループにはプラセボ(偽薬)を、それぞれ5週間飲んでもらいました。実験開始時と終了時に簡単な記憶力テストを行いました。また、実験期間中、度忘れした記録もとってもらいました。

すると、レシチンを投与したグループでは記憶力テストの成績が向上し、度忘れの回数も少なかったといいます。この結果、レシチンには記憶力に何らかのプラス影響を与えることが考えられます。受験生やもの忘れが心配になってきた中高年には納豆の原料の大豆に含まれているレシチンを試してみる価値は大いにあるはずです。

さらに、社会現象にもなった「キレる子供」を防ぐためにも、レシチンは有効です。アメリカのマサチューセッツ総合病院のJ・H・クロウドン博士らは「神経的・精神的に失調をきたしている人にレシチンを与えると、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成が活発になり、精神状態が改善する」と報告しています。

レシチンは脳の神経細胞を強くし、細胞の働きを活発にするのは確かなので、精神的な安定にも効果があると考えられます。昔からレシチンは「天然のトランキライザー(精神安定剤)といわれていることからも、このことは容易に想像がつきます。キレない子供を作るためにも、納豆を積極的に食べるのも、有効な手段になるはずです。

たんぱく質 〜脳内の神経伝達物質の合成を活発化する

たんぱく質は脳をはじめ、細胞には欠かせない材料になっています。たんぱく質が豊富にあると、脳内の神経伝達物質の合成が活発になり、脳の働きも活性化します。精神的にも安定し、落ち着きを維持できるはずです。

また、たんぱく質はアミノ酸で構成されています。アミノ酸の中には脳の機能を高める効果があるグルタミン酸があります。グルタミン酸は納豆に豊富に含まれていることから、納豆は「脳の活性化食」といっても過言ではありまあせん。

グルタミン酸の効用はそれだけではありません。体内でたんぱく質が使われるとアンモニアが作られます。アンモニアは脳の機能を妨げる作用がありますが、グルタミン酸はアンモニアを変化させて体外への排出を促進。このことから脳の働きが高まり、知能が上がることが確認されています。

コリン 〜脳の神経伝達物質の材料となる

水溶性のビタミンの一種で、脳内の神経伝達物質アセチルコリンの材料となります。アセチルコリンは記憶と学習能力に大きく関係し、コリンの摂取量が多くなると、記憶・学習能力が高まっていきます。

ビタミンB1 〜中枢神経と末梢神経の機能を保つ

脳の中枢神経や末梢神経の機能を正常に保つ働きがあり、脳の重要なエネルギー源であるブドウ糖の代謝に欠かせないビタミンです。ビタミンB1が不足すると、脳に十分なエネルギーが供給されず、集中力や記憶力が低下してしまいます。

カルシウム 〜不足すると集中力が低下する

カルシウムが不足するとイライラしたり、集中力が低下したりします。記憶と学習に関する神経伝達物質の流れも悪くなり、記憶力の低下にもつながります。

ビタミンK 〜脳の神経伝達を活性化する

脳内の神経伝達に必要なカルシウムの吸収を高めてくれます。これによって、脳内の神経伝達が活発化してくるはずです。

カリウム 〜無気力を防ぐ

カリウムが不足すると、無気力になることが知られています。逆にいえば、カリウムが豊富ならば、気力も充実してくるはずです。

マグネシウム 〜高ぶった神経を鎮静化する

高ぶった神経を鎮静化する作用があります。また、マグネシウムが不足すると、集中力が低下するだけでなく、ウツ症状の要因にもなります。マグネシウムは精神的なストレスを受けると、消費量が急激に増えます。また、飲酒によっても不足しがちになるので、お酒のおつまみには納豆がふさわしいといえるでしょう。

4.納豆入り・冷やし汁で脳を活発化

昔から伝わる宮崎県日向の汁物に納豆をプラスしたものです。納豆は脳の働きを活発化する成分を豊富に含んでいます。あじはたんぱく質や脂質を多く含んでおり、脂質は良質のDHAやEPAです。血中コレステロールを下げ、脳の働きも高めてくれます。ごまの脂質も不飽和脂肪酸で良質。長寿食の味噌がプラスされ、老化も防止してくれるというわけです。

材料(2人分)
あじ ……1尾
納豆 ……1パック
白ごま ……大さじ1
赤味噌 ……大さじ2
みりん ……大さじ1
青しそ ……2枚
きゅうり ……1/2本

作り方
(1) あじは両面をよく焼き、身をほぐしておく。
(2) 青しそは千切り。きゅうりは小口切りにし軽く塩を振ってしんなりしたら絞る。
(3) 骨でだし汁を作る。鍋に骨と水3カップを入れ火にかける。沸騰したら弱火にして2〜3分煮る。
(4) すり鉢で白ごまをよくする。(1)と赤味噌、みりんを加えよくすり混ぜ、平たく丸めて両面をこんがり焼く。
(5) すり鉢に(4)を入れ、(3)のだし汁を少しずつ注いで混ぜ、冷やす。
(6) 器に盛り、納豆を加え、青しその千切りときゅうりの塩もみを飾る。