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納豆川柳

「納豆に関する川柳」

日本を代表する伝統食品である納豆は、もともとは冬の食べ物でしたが、江戸時代後期の文化・文政時代より、食文化として通年化してきたといわれています。江戸時代の川柳集『誹風柳多留』(はいふうやなぎだる)にも、納豆に関わる川柳がたくさん載っています。

納豆のあとからばつたばたとくる
(納豆売りのあとから、朝の物売りたちがやってくる)

しまったり親父納豆買って居る
(朝帰りをした息子がすでに納豆を買っていた父親の姿に慌てている様子)

岡田甫『誹風柳多留全集・索引編』(1984年・三省堂)

もちろん、現代の食卓にも納豆の食文化はしっかりと定着しています。日本人の食生活で最も親しみのある食材のひとつである納豆にまつわるユニークな発想も、毎日のみなさんの食卓からいろいろ考えられるのではないでしょうか。

納豆に関する川柳は、日本人の食生活に最も親しみのある食材のひとつである納豆にまつわるユニークな発想から生まれた作品を幅広い年代の方々からご応募いただきました。
多数の応募の中から厳正なる審査の結果、次の3点が優秀賞に決まりました。
選評は筑波大准教授 石塚修先生

優秀賞

  • 納豆が あれば困らぬ 妻の留守 山田 茂夫様 男性 70代
  • 納豆の 糸が延ばした 生命線 ひろこ様 女性 30代
  • かき混ぜる 数を数える 生真面目さ さるとびエツコ様 女性 50代

選評

納豆が あれば困らぬ 妻の留守 山田 茂夫様 男性 70代

おそらくは老夫婦のご家庭でしょうか。濡れ落ち葉族と、とかくののしられる定年退職後のお父さんたちにとっても「納豆」は強い味方です。または、お子たちと妻の留守の食卓を囲むお父さんの姿でしょうか。いずれにしても、手軽で栄養価もある納豆をご家族がしっかりと食べて元気にお留守番してくれるならば、奥様たちも安心しておでかけができるというものです。

納豆の 糸が延ばした 生命線 ひろこ様 女性 30代

納豆の「糸」を「生命線」とからめ、長生きを暗示している点がユニークでいい作品です。「ねばる」と「長生き」を直接的に付合いとされていた作品が多くみられたなかで、こうした視点のユニークさが川柳のおもしろさとして評価できました。

かき混ぜる 数を数える 生真面目さ さるとびエツコ様 女性 50代

お子さんの様子を詠んだ作品でしょうか。納豆ということばが直接は出てこないですけれども、食卓の光景が目に浮かぶようです。またはおひとり様の食卓でしょうか。キャリアウーマンがひとりで納豆を食べるときでもついついきっちり仕事のようにしてしまう、人としての性(さが)をうまくとらえているようにも思います。

川柳選出
 筑波大学大学院人文社会科学研究科 文芸・言語専攻 准教授 石塚修
 全国納豆協同組合連合会 PR委員会


2010年川柳の応募結果はこちら