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第2回
納豆シンポジウム開催

2007年6月25日

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6月12日(火)、日本青年館(東京都新宿区)で第2回納豆シンポジウムが開催されました。今回のシンポジウムは、第一部で発酵学の権威・小泉武夫教授(東京農業大学)による講演会、第二部では小泉教授を座長に、南伸坊さん(イラストレーター)・枝元なほみさん(料理研究家)をパネリストに迎えてのシンポジウムの二部構成で行いました。

第一部の講演では、小泉教授の「納豆とっておきのいい話」をテーマに納豆の歴史・海外での納豆の食べ方などあまり知られていない納豆の話を聞くことが出来ました。

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はじめに小泉教授は、「納豆は日本独自のもので、中国の影響はないが、稲作と大豆は深い関係にあり、奈良時代の文献にも残っている。和牛のタンパク質は18〜20%だが、大豆は32%と非常に高く、大豆が『畑の肉』と呼ばれているのにはこう言った背景がある。」と古くから大豆は日本に馴染みがあり、大豆の栄養価の高さを説明されました。また、海外の納豆について「中国や韓国、インド、ミャンマーなどの東アジア諸国でも納豆はあるが、生で納豆を食べるのは日本だけ。海外ではパンや麺など粉食文化で食文化が発展したせいか、フライパンの普及率が高く、納豆を焼いて食べる傾向がある。」と日本と海外の食べ方の違いを紹介されました。

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次に日本での納豆の歴史について、関西では納豆を食べないと認識されていますが、それは誤りであり、江戸時代には「納豆汁」が普及していたそうです。その証拠に与謝野蕪村(関西生まれ)の俳句 『朝霧や 室の揚屋の 納豆汁』を紹介していただき、江戸時代に関西地方でも納豆が食されていたことをご説明されました。

また、納豆の食べ方について、「北大路魯山人も納豆をこよなく愛し、納豆のかき混ぜ方も研究していた。魯山人は醤油ではなく塩で納豆を食べていた。」と美食家の食べ方を紹介し、小泉教授自身も「納豆をフライパンでさっと焼いて、卵を納豆の中に入れる『焼き納豆』を食べたときは、目の前が真っ白になるくらい美味しい。」と新しい食べ方もご紹介していただきました。

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第二部のシンポジウムでは、「ナットクの納ットーク」をテーマに、御三方の納豆論を聞くことが出来ました。御出席された先生方の納豆への思い入れは強く、南さんは、「僕らの子供の頃は、納豆の売り声で朝起きました。またその後、豆腐屋さんが来て朝ご飯のおかずを売りに来てくれるものでした。」と子供の頃から納豆に親しんでいたエピソードを語り、枝元さんは「チゲ鍋に納豆を入れると美味しくなる。」と料理研究家という視点から納豆について語っていただきました。

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納豆の食べ方について、三者三様の自論を展開し、小泉教授が「先日、新幹線の中で納豆を食べた。すると前に座っていた人が納豆のにおいがしたんでしょうね、後ろを振り向いた。」と小泉教授らしいエピソードを話されました。一方、枝元さんは「納豆の薬味はネギとかノリが好きですが、最近のマイブームは『マグロ』。それと山形の『ダシ』と言うのがあり、ナス・キュウリ・ミョウガ・オクラを細かく刻んで混ぜるものが今年のマイブーム。」と枝元さんの料理に対するマイブームのエピソードをお聞きすることが出来ました。また、南さんは「お酒のつまみに長芋をすって、その中に納豆を入れる。味付けは醤油ではなく、柚子胡椒で。お酒のつまみにすごくいい。あとはオクラ納豆や明太子を納豆に入れる。」と聞いているだけで食欲が出るレシピを話されました。

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最後に、納豆の未来について、枝元さんは「日本食が世界中でブームになっているのには理由がある。米と豆で、それも豆を発酵させたもの(納豆)で日々を養っていく日本人の知恵を大事にしたい。」と熱く語り、南さんは「日本人は和食を食べなくなってきており、朝食を食べない人も多い。納豆は面倒な食べ物ではないので、和食文化を見直す鍵になる。」と力説されました。そして小泉教授は、「小さな子は納豆を好んで食べる。これは納豆がおいしいと分かっており、納豆に含まれるアミノ酸を子供の体が欲しているからだ。」と納豆が子供の成長に役立つ食べ物であることを説明されました。御三方ともまだまだ納豆について語り足りない様子ではありましたが、多くの納豆愛好家が参加した「第2回納豆シンポジウム」は大盛況のうちに閉幕しました。