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納豆文学史「納豆と文学、ときどきこぼれ話」

その1 なぜ「納豆」は「のうず」と読まないの?

漢字には、「納」を「ノウ」と読む「音読み」と「おさめる」と読む「訓読み」があることは、皆さんもよくご存じのことでしょう。その「音読み」をさらに詳しく見ていくと、「納」を「ノウ」読むのは音読みでも「呉音」という読み方になります。

「呉音」とは、もともと中国の南方の発音に基づいた漢字の読み方と言われ、日本には7世紀頃までに伝わったとされています。やがて遣唐使たちによって伝えられた長安付近の音読みである「漢音」へと多くの漢字の読みは代わられていきますけれども、仏教関係の語には呉音をそのまま継承して読んでいるものが多く見られます。たとえば仏様の前でお経を唱える「勤行」を「キンコウ」とは読まないで「ゴンギョウ」と読むのもそうした理由によると考えられます。

なぜ「納豆」は「のうず」と読まないの?

「納豆=ナットウ」と言う読み方は、呉音「ノウ」の慣用的読み方である「ナッ」(納得)「ナ」(納屋)「ナン」(納戸)「トウ」(出納)のうちの一つが使われているわけです。納豆はおそらく中国から仏教を通じて日本に伝来したため、このように呉音を元とした読み方がながく継承されてきたと考えられます。

ただし「豆」の方については、呉音の「ヅ」ではなくて、漢音の「トウ」で読んでいますね。もしかすると、その点でも「納豆」はやはりバランスのとれた?食品になっていると言えるのかもしれません。

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