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納豆健康学セミナー

浜松町WTCコンファレンスセンターに於いて
第七回「納豆健康学セミナー」を開催

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2010年12月13日、東京・浜松町のWTCコンファレスセンター(世界貿易センタービル3F)において、「第七回納豆健康学セミナー」を開催しました。

このセミナーは、「納豆が人々の心身の健康にどのように貢献しているのか」をテーマに、食品栄養学、食文化、総合長寿食研究など各ジャンルの第一線で活躍されている研究者の最新研究結果を通じて、納豆の見識を一層深めていただくことが目的。平成15年より開催されており、今回で七回目を迎えます。

当日は、一般聴講者を含む、多くのマスコミ関係者の方々が訪れるなか、納豆研究の先生方3名をお招きし、医学・化学的見地、文化的見地より納豆に関する最新の研究成果を発表していただきました。

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セミナーの初めに、全国納豆協同組合連合会(以下:納豆連) 会長の笹沼隆史が2011年より、1月10日を「糸引き納豆の日」として制定したことを報告。「今般、希薄になりがちな“家族的な絆”が社会問題化しております。納豆連では“人との結びつきを納豆食で復活させる”をスローガンに、納豆の粘り強い糸のような“人と人との結びつき”が取り戻せるよう、積極的に活動していく予定でございます」と挨拶をしました。

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続いて各研究者の発表です。
四国大学短期大学部 人間健康科 食物栄養専攻 教授の西堀尚良先生は「納豆のポリアミン濃度に関して〜食品のポリアミン含量や測定方法〜」の研究結果を発表しました。
西堀先生は、細胞の増殖に関与する代表的なポリアミンは3種あり、アンチエイジング効果を有するのはスペルミジン、スペルミンであることを報告。「この二つの成分は豆類に多く含まれます。なかでも乾燥大豆の含有量はトップクラスなのですが、煮豆や豆腐、味噌などに加工するとその含有量は大幅に減少してしまいます。しかし、納豆は加工しても含有量が減少しない高濃度ポリアミン食品。1パック(50g入り)で日本人のスペルミジン、スペルミン摂取量の20%に相当します」と解説され、納豆が良好なポリアミン供給源であることも述べられました。

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続いての講演は、筑波大学大学院 人文社会科学研究科 文芸・言語専攻准教授の石塚修先生による「“生きる力”をもたらした納豆‐“納豆売り”が近代社会で果たした役割 - 」。石塚先生は、江戸・明治時代に街の風物詩として活躍していた納豆売りの売り声を再現し、いかに納豆が日本人に密着した食品であることを説明。「明治、大正時代、納豆売りに子供や女性が多かったのは、納豆の利益率が4〜5割と高く、重荷にならない商品だったから。また、朝早い仕事のため、時間を有効に使いたい苦学生にも適したアルバイトでした。つまり、納豆売りは貧しい庶民の生活を支えたセーフティネットだったのです」と小林多喜二の蟹工船をはじめ、近代の様々な文献を引用しながら解説されました。

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最後は、自治医科大学 さいたま医療センター 循環器病臨床研究所 准教授の早田邦康による「納豆のポリアミン - さらなる飛翔 - 」です。
早田先生は、人体に有効な成分の消化と吸収の仕組みに加え、腸から吸収可能な成分の分子量(大きさ)が1000であることを説明。「納豆に含まれるポリアミンとのスペルミンとスペルミジンの分子量は200程度で非常に吸収率がいい。これらの成分は血栓症の原因ともなる炎症の誘発因子LFA-1を抑制することが明らかになっています」という研究結果を発表しました。
WHOの疫学調査と食品のポリアミン含有量とをクロスしたデータを基に、オリーブオイル、フルーツ、チーズやヨーグルト、魚介類を多く食べる「地中海食」を推奨。さらに「納豆を平均1パック(40〜50g)程度毎日食べ続けると生活習慣病の予防に有効」と納豆のポリアミンで動脈硬化などの疾患が予防できる可能性を示してくれました。

講演の合間には、7月10日に行われた、2010年度“納豆の日”記念ソング「ナットウマン」を歌うユニット「ナットウエンジェルZ」のお披露目イベントの模様や、2010年度ミス納豆の都道府県への表敬訪問の様子など、納豆連のPR活動が報告されました。

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また、納豆の消費量拡大に貢献していただいた方への特別表彰式も行われました。
受賞者は元鳥取県学校栄養職員 石井須賀子さん。
昭和51年に石井さんが挽き割り納豆を使用し、試行錯誤の末に考案した「スタミナ納豆」は、鳥取県中部地域では現在も学校給食1位、2位の人気メニューとして定着しています。また、「スタミナ納豆」は今春テレビ放送がきっかけで大ヒットし、全国的に挽き割り納豆が売り切れる店が続出したそうです。納豆食の馴染みの薄かった地域の子供たちが積極的に納豆を食べる習慣を根付かせたという石井さんの功績を称え、当組合から表彰させいただきました。

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最後に出席者からの質疑応答を受け、「納豆健康学セミナー」は無事終了。
納豆連では今後も「納豆健康学セミナー」などを通じて、医学、薬学、栄養学など、様々な分野の研究者による最新の研究結果から、“新たな納豆の魅力と機能性”についてアプローチし、“納豆の素晴らしさ”を全国の消費者の皆様に伝えていく予定です。